姉がもうまもなく、というところらしい。それはまあわかっていたし、癌は備えることができる病というのはよく言ったもので、私は距離があるのもあり縁を断っていたこともあり、まあ、うん、はい、というところで。ただ。それに際して。もうとてもとても醜い思いがある。実両親のことは姉がみてくれるはずだったのに、という未来先行きへのしかかる避けられたはずの重みが。姉は親に感謝していて親を大事に思っていてお母さんたちのことは私がみるからと常々言っていて、親のことも姉のこともまったく好ましく思えないけど、親と姉が仲良くしていてくれたら私は血縁と縁遠くても、むしろその方がいい私のことはいなかったものとして、と思っていたのに。あんなに話の通じない老人二人の最も近しい関係者が私になる。ため息が止まらない。そんなことしか今思わない。その内心をあえて親の前で言うことはしないかもしれないけど、私はやるべきことはやったし、これ以上何かするつもりはない。でもおそらくそれは通じない。何もかも無視するなら、私程度の性根だと現実に負ける。仕事上いろんなご家族を見てきたけど、親の老いとその現実を理解した上で完全無視するのは、ちょっとやそっとの輩メンタルではできない所業。最悪事が起きる前に事前に備えたいタイプの知恵のある人程貧乏くじを引く。