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三枝昂之『昭和短歌の精神史』を読了。著者のスタンスにいろいろつっこみたいところはあるのだけれど、一種のメディア史として読んだとき、当時のメディアは、なにか起きると歌人に歌を作らせていたという点が、歌人の社会的地位という点で面白かったです。だからこそ戦時の戦争協力の問題が大きくなるのだろうなと。そして、これは本書の著書も書いていることだけれど、実際戦争になれば自分が国籍を有している国に勝ってもらわないと困るのはそれはそうで、だからやはり戦争は起きてしまった時点でもう駄目なんだろうと。

それで思うのは直近の防衛費増額とそのための増税の件で、端的に「軍拡のための増税」が公然と議論されているのが私にはかなり衝撃なのです。あれほど財政再建を理由に社会保障費の抑制をはかってきた、公務員の人件費も抑制してきたこの国が。

解釈改憲も安保法制も問題ではあったと思うけど、法制の話ではあった。今度の話は実体としての軍拡でしょう。しかしあの時ほどの反対の広がりがないのは、軍事に対する感覚がウクライナ侵攻以来変わってしまったということなのか。それとも、実際世界は変わったのだからというリアリズムをみなわきまえているのか…短歌の話から少し離れましたが。

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