折口信夫に「ごろつきの話」という小論文(講演記録)がある。
aozora.gr.jp/cards/000933/file

ここで折口は「無頼」や「無頼漢」を「ごろつき」と読ませ、無頼=ごろつきの具体例として、うかれ人、ほかい人、野ぶし、山ぶし、念仏聖、虚無僧、くぐつ、すり、すっぱ、らっぱ、がんどう(強盗)、博徒、侠客、かぶき者、あぶれ者、町やっこ、舞々・舞太夫、しょろり・そろり、無宿者・無職者などをあげている。

時代は違うが、この無頼漢リストはマルクスの列挙したボエーム=ルンペンプロレタリアのリストを思わせる。
ただし、マルクスがルンペンプロレタリアを歴史の夾雑物として扱おうとしたのに対し、折口は「ごろつきの話」の冒頭で次のように述べ、日本史における無頼=ごろつきの存在と役割に重いものを与えた。ここで言う「時代」も、古代から近代初期までの長い期間を指す。

《無頼漢などゝいへば、社会の瘤のやうなものとしか考へて居られぬ。だが、嘗て、日本では此無頼漢が、社会の大なる要素をなした時代がある。のみならず、芸術の上の運動には、殊に大きな力を致したと見られるのである。》

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