《彼は寺山修司と思想誌の編集長が話しているのを聞いたことがある。
/寺山さんの引用したバタイユの文章、すごくよかったので僕も引用して使ったけれど出典は、何かな。捜したんだけど分からなかったよ。/分るはずがないよ。あれは僕が書いたんだから。/えー!/編集長は本当に驚いたようだった。
彼は、寺山修司に聞いてみる。/いつもあんなことするんですか?/よくやるよ。だいたい引用しているところは僕が書いているし、僕の地の文が引用のこともある。単行本にする時に入れ替えたりするけどね。》――今野裕一「ボルヘスと寺山修司そして彼という舞台監督」(『夜想』#16 特集「ボルヘス/レゾートル」)

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《彼は、寺山修司にあって何年かたって、その出会いがドラマチックになって他人に披露されるのを聞いて驚いたことがある。あとで/恥ずかしいから余りドラマチックに言わないでくださいよ/と言うと驚いて、彼のほうが記憶違いだといって決して間違いを認めようとはしなかった。以来、彼と寺山修司との出会いは、そういうことになってしまった。
寺山修司は、一生をかけて不可思議な引用を続け虚構を作り続けた。寺山修司のおもしろさは、虚構と現実のギャップの大きさにある。そして常に虚構の側に住んでいて、そこにレアリテを求めていた。寺山修司は引用した現実のほうに身を置こうとしていたのだ。》――同前

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