仮説: 西欧の壁抜け譚は中国渡来ではないか。
今のところサンプルは三つ。
アポリネール「オノレ・シュブラックの失踪」
マルセル・エイメ「壁抜け男」
蒲松齢『聊斎志異』中の「労山道士」
「オノレ・シュブラックの失踪」は必ずしも壁抜け譚ではない。主人公は壁を通り抜けたのではなく、張り付いて壁にまぎれこむ「擬態」にとどまる。19世紀以来の生物学の広がりを背景としたアイデアか。そう考えた場合、サンプルは2点に減る。
サンプルの過少は仮説にとって本質的な欠陥ではない。リンゴの実は人々の前でいつも木から落ちつづけて来たのに、誰も引力の存在を想定することはなかった、ニュートン以前には。
#壁抜け男
サンプルは2点としたが、じつは1点。
目下の仮説においては、エイメの「壁抜け男」も『聊斎志異』の「労山道士」も単独ではサンプルにならず、両者をセットにして1サンプル。
当然のことだが、もう一つ付記。
サンプルは少ないほど仮説は立てやすい。