第2話「彼女はなぜすべてを手放すことに決めたのか(愛の周期性について)」
ティカ異常物体研究所は、惑星エカの衛星に設置された、通常の研究施設では研究することのできない「異常」な存在を隔離し調査するための機関である。日々の仕事を手際よくこなす研究員のカリカの胸の内には、しかし、ある重大な悩みが根を張っていた。その悩みの原因は、彼女が母星に残してきた、ある心残りに他ならなかった。
(ラブコメ、異常物体、隔離と閉鎖、恋と愛、三角関係、周期性)
第3話「君は光(音楽の想像的用法について)」
その惑星には、音が存在しない。より正確に言えば、その特殊な地学的条件のために、その惑星に住む生物は、音を知覚するための聴覚器官を持たないのである。「音楽」が意味を持たない世界に打ちのめされるペリフと、彼に共感する心優しい少年の、ひとときの交流。しかし、その時間は、長くは続かない。国家全体を席巻する戦争の潮流が、やがて、二人を否応なしに巻き込んでいくのである。
(戦争、視覚と触覚、光、想像力)
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