休憩。蓮見圭一の『水曜の朝、午前3時』という小説があるが、その時間をちょっと回った水曜の朝、午前4時45分。
1970年の大阪万博を舞台にした、在日朝鮮人であることを隠している男性と日本人女性の恋愛物語だけど、まるでスパイ小説のようなテンションで、悲劇なのだと思う。数年前に河出から復刊されていたはず。小説として、とてもよくできている。死ぬまでにもう一度読み返したい。
最初は新潮社から出ていた。蓮見圭一(ペンネーム)はそもそも新潮社の編集者で、文芸の編集者にはそこらへんの作家よりよほど文章が上手い人がいる。「仕事として読んでいる量が違うからね」と、これはまた別のとある編集者が酒の席で叩いた軽口だが、なるほどと思った。
もちろん、上手い文章がすなわち面白い小説になるわけではないけど、この蓮見圭一は小説家として一流だと思う。
マーケットに媚びずに自分なりの世界を描く(貫く)静かな表現の作家が、文学でも美術でも音楽でもなんでもいいけど、素晴らしいと思う。
これを復刊した河出書房の編集者は偉かったな。好きだったんだろうし、やりたかったんだろうなと思う。そういう仕事もときどきはしないとねー
休憩終わり。気付け薬も飲んだ。埋め草を用意する作業に戻る。
水曜の朝、午前4時55分