クリスマスの気配が漂ってくるとジョナサン・フランゼンの『コレクションズ』という破天荒な小説を読み返したくなる
クリスマスに子供達を我が家に呼び寄せようと悪戦苦闘する老母の話が軸なのだが…
長男は表向きはうまくいっている実業家だけど夫婦不仲で(孫を連れての)里帰りどころではなく、大学の教員であるはずの次男は国際詐欺の片棒を担いで紛争に巻き込まれて生命の危機に晒されており、料理人の末娘はレストランのオーナーとの不倫関係が泥沼で年老いた両親と顔を合わせるのも気が重い。いずれも口が裂けても親に打ち明けられない事情をあれこれを抱えている
「古き良きアメリカ」を象徴するような老母、アルツハイマーを患い余命いくばくも無さそうな老父(これも米社会の象徴?)。だからこそ全員が揃ううちに子供達を集合させようと老母は躍起になるのだが
社会が安定し上向いていた親世代と、何をどうしても崩壊の危機から逃れられない次世代。その対比というか何というか… とにかくこんな社会の描き方もあるのかと目から鱗の読書体験の一大スペクタクル
とんでもないドタバタ劇がサスペンスたっぷりに展開するのだが大団円に向けての加速もヤバい
小説家って凄いなと