これは上げてなかった先週の観劇。感想は半端に書き出してはあるのでまた今度。

初演では言及されていなかったと思うんだけど、再演では主人公のロナン・マズリエ(農夫の息子)が「字が読める」のでデムーランの執筆したパンフレットが読める→読めるわけだし印刷所で働けるように口をきこうというように話が展開していきます。ストーリーを分かりやすいように変更したのだろうけど、字が読める=能力があるから仕事が斡旋してもらえる、という流れの方が分かりやすい=観客に受け入れられやすいだろうと思われているのだと思うと、能力至上主義や新自由主義の匂いを感じてしまってちょっといやーな感じ。帝劇版からこうなのかもしれないけど(私は帝劇版を観ていないので)

曲「武器をとれ」が初演時にも似たのがあったけど、メロディーが大きく違う、というか違う曲だよね?(歌詞は似てる)今回のバージョンの方が明るく爽やかな印象を受けました。演者に似合うと思ってこっちをチョイスしたのかもしれないけど。初演版はもう少し決意や悲壮感を感じるものだった記憶がある。こっちはちょっと軽くてなんか部活っぽいというか……怖いなあ、という感想を持ちました。これは今の私だからかもしれない。そういうのが多い演目だよね1789。

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1789ってロナン(トップスター)がオランプ(トップ娘役)に対して「俺と仕事とどっちが大事なんだよ?」みたいなことを言うシーンがあるのですが、あれって言葉通りの意味じゃなくて、平民である自分との未来か王家に仕える自分か、どちらの思想をとるのか?みたいな話だと思うんですよね。だから再演でロナンに敵同士だから愛し合えないのかと言われて「思いが違うから」と訂正した台詞を消したのはなんだかな~と思っています。あった方が良くない?パッと言われた瞬間は分かりにくい台詞であることは確かだけど、後から考えると納得できるというか。
しかしヨーロッパのカップル文化の所為か、宝塚の異性愛至上主義の所為か、「自由に愛し合うこと」が自由の中で大きなウェイトを占めてるのはなんか……そうなっちゃうのよね……という気持ちに改めてなる。この辺はそうでない話を見たい時は宝塚じゃなくて他所へ行かないとならないレベルで前提の話なんだけど。

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ラストシーン、登場人物がほぼ勢揃いして盆が回っているところ。
歌われる歌詞が、「一人ひとりの声が歴史を作っていく」というようなものなので、8年ぶり待望の再演、その8年の間に世界はあまり良くならなかったよ、と思って泣けてしまった。
もっと言うと悪くなったことがいっぱいあった。長期政権で教育から壊した首相がいた、その人は恨まれて殺され、スタグフレーションは進む一方で治安は悪化してる。米国ではドナルド・トランプが大統領になったと思ったら国会議事堂が襲撃され、ヨーロッパでも戦争がありその影で話題にもならない紛争地域がずっと前からあると言われている。私の知らないことももっとたくさんあるでしょう。歴史の中でどんな個人も生きていく、誰を愛することに他者の許しはいらないと歌う人たちを見て、8年で何ができただろう人類は、と思ってしまった。自分も何ができたわけじゃないけど。なんかきつくて……
これも2023年の状況と2023年の私だから感じたことなのでしょうけれど。どこかに持ったまま(普段は忘れてるにしろ)生きていくしかないからね。

感想じゃない余談 

公演について紹介する番組(たしか「ステージドア」の終盤)で潤色・演出担当が二幕の客席降りのことを「マジョリティが意見を表明するために銀橋へ」というような表現をしているんだけど、フランス革命前夜の平民ってマジョリティなんです?絶対数で言えばそうだけど、三部会で不当な扱いを受けている(議席数で勝っているのに聖職者&貴族VS平民の構図になるので絶対に勝てない・要望を通すことはできない)と劇中で描写してるわけで。その権力勾配があってもマジョリティという枠なのかな?その認識で(英語の原義とか?)作ってるってこと?というのは疑問に思った。
いやこれは私はカジノ・ロワイヤルでマジギレした所為かもしれませんが……この演出家に対して警戒レベルが上がってて……ははは……

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