(続き)→ 収録作「母について」で描かれるのは、比嘉氏の母の戦争体験。
日本兵に避難壕を追い出されたり、幼い学徒兵の特攻などを目にしながら、四人の子を連れて戦火を潜り抜けます。
一方「砂の兵士」は、沖縄で現地招集され武装は棒一本だけの”防衛隊”(棒兵隊)となり、戦場に放り出された氏の父が主人公。
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他に、壕に籠る日本兵や住民に、投降を呼びかける沖縄人捕虜の物語「砂の呼声」。
学徒兵が琉球王朝の貴重な古文書を戦火から守ろうとする「学舎(まなびや)」など。
様々な角度から沖縄戦の醜さ・虚しさを描きつつ、最後の一線で人間の善意を信じようとする作者の、強い想いが伝わる名作です。