『ラストマイル』感想つづき(※ネタバレ有)
真犯人は、自分が死んで倉庫が止まるのならばそれでいい、他の爆弾は爆発しなくてもいい、そうであってくれと思っていたのではないか。ずっとスーツケースを持った姿で、どこかに移動していて、なにも分からないままだったのが悲しかった。「がらくた」の歌詞を聞いて余計悲しくなった。
人が死ぬまでやめられない、とは割とよく聞く言葉だけれど、ほんとうは、人が死んでも止まらない。誰かが交代でまわしていくだけだ。人手不足で悲鳴を上げる物流業界では、赤信号はもうずっと前から灯っているのに、誰もが見て見ぬふりをしている。まだいける、もうちょっと工夫すればまだやれる、根性が足りない。「爆弾」は今の日本社会が抱える問題そのものだ。きっとそのうち爆発する。誰も責任はとらない。なんとなく社会は続く。それがシステムだ。ラストシーン、「次」を託された梨本が不穏だった。
ちゃんとしたお仕事ドラマでもあって、物流に関わる人達や警察以外にも色々な職業のひとが出てきて楽しかった。爆弾職人のキャラクターがつくられていてよかった。暗黒都市の闇市の武器商人やっててほしい。なんだそれ。
『ラストマイル』感想つづき2(※ネタバレ有)
何度か「名前を間違える」「ちゃんと言えない」ってシークエンスが登場していたとおもう。『虎に翼』のヒャンちゃんしかり、正しい名前を呼ぶって、その人の存在をただしく認めることにもつながるとおもう。(そして物流にも『読みにくい名前の人たち』が大勢働いてらっしゃるんじゃないのかとおもう)
ちゃんと読んでもらえず、ちゃんと覚えてもらえない、何人かの登場人物が悲しかった。病院のシーン、点滴を指で隠すところ、ぐっときた。やさしいね。