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Kelly McGonigal『人生を変える運動の科学』2020を読んだ。

「シャーデンフロイデ」という言葉では表現されてこそ、いなかったが、ウルトラ・マラソンなどの、過酷で孤独な耐久系スポーツに人々が挑むのは、他の参加者も同じ苦しみに耐えている、という一体感を感じるためだ、と理解できた。その先にある達成感も大きいのかも知れないが、その過程で乗り越えるべき壁に、ぶち当たった時、何を考えて乗り越えるか。自分一人の力だけでは不可能に思えてしまうことでも、他の仲間となら乗り越えられる、という確信を感じるために、敢えて過酷な運動に参加するらしい。

この一体感に似た感情は「他の皆もやっているから」という、他人が外圧を加える、日本的な精神論ではなく、自分の内側から自然に湧いてくる感情らしい。もともと、自分が自分自身に訴える言葉なのだ。その状況に打ちのめされた時、見栄やプライドは消え去り、素直に他人の助けを受けられる自分になれる。そうやって人間は様々な困難を乗り越えてきた。そして、これからも乗り越えてゆける、と確信するために、日々、過酷な状況に自らを置くものらしい。

下手をすると、搾取する側の人間を助長しかねないが、方向性を間違えなければ、大きな励みになる考え方だな、と感じた。

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