よりによってこの日を狙うなんてという怒りは勿論あるのだけれど、予想にも易いので驚きがなかったことが我ながらあらためて悲しい。「喪われたものを悼め、なぜならそれは数多いから。しかし、勝利は祝え、なぜならそれは数少ないから」北丸さんが以前呟いてくださったこの言葉がふと過った("Queer As Folk”という米ドラマの台詞とのこと)。慣れたくないね。差別にも暴力にも決して。  abcnews.go.com/US/dead-18-inju

ヘイトクライム、ヘイトスピーチの犠牲者とその身近な人々(パートナー、友人、肉親など)は、加害者側の一方的な差別意識や偏見に基づく加害行為を機に、人生を大きく損なわれ、健康と平穏な日々を永遠に(または長期的に)奪われてしまう。かろうじて自死に追い込まれなくて済んだものの自分もかつてそうだったので(残された後遺症と貧困で一度足を洗ったセックスワークも再度してきた)、本邦も包括的差別禁止法の導入は無論、犯罪被害者支援の基盤強化ももっと具体的に進めて貰いたい。日本の被害者支援は現状、複合差別被害やオールジェンダーの性被害者支援にしっかり太刀打ちできるものではまるでない。 

『科研費NEWS』2017年度 VOL.2のPDF見つけた。①通常の複合差別、②付加的差別、③交差的な複合差別、がそれぞれちゃんと腑分けされていて良い。 “今後も、包括的差別禁止法制の立法化を求めて、研究を深めてゆきたいと考えています。(浅倉むつ子教授)“ 控えめに言っても地獄を見て来たので、是非よろしくお願い致します。jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_le

複合差別はレイシズムもセクシズムも勿論ダメだけれど、たとえばアルビノ狩りや解離てんかん狩りのように前例の中々見あたらないやや特殊な障害者ヘイト(あるいは類似犯罪はこれまでも繰り返されていたものの啓発が遅れていたもの)の場合も、若年のマイノリティ当事者は供述弱者性が高く、自分一人ですぐさま解決できるものではないだろうと思う。ので、ここ(障害者ヘイト)も本当にしっかり注意されてほしい。去年この記事に出会えなかったら、私は死んでいた自信の方がある。 

障がい者ヘイトとは何か――「見えない犯罪」は可視化できるか(六辻彰二)
news.yahoo.co.jp/byline/mutsuj

ただでさえ積読という業を抱え込んでいるのに、買わねばならない本を見つけてしまった。供述弱者性、本当に見落とされないでほしい。ぽちっ(←買った) 『冤罪をほどく “供述弱者″とは誰か』中日新聞編集局、秦融著(風媒社)yomiuri.co.jp/culture/book/rev

アフリカのアルビノ狩りは2014年以降、国際アルビニズムデー(6月13日)が存在し、当事者ネットワークの国連との連携も強固。国内外を問わず当事者の方の活動も幅広く羨ましいばかり。それでも根絶に至らない点は忘れてはならないのだけれど、近年の動向についてアルビノエンターテイナー=粕谷幸司さんも前向きなブログを書かれていた。義憤に駆られた市民が警察署に押し寄せる事態にまで発展。これがもし本当なら、粕谷さんの仰るように希望がある。kasuya.net/albino/20221105/alb

私が見落としていただけの話かもしれないけれど、数年前は義憤に駆られる市民の存在は確認できなかった。ので、非当事者ながら嬉しい。色々進んでいるのなら。 >>>差別と迷信に立ち向かうrotary.org/ja/rotary-helps-tan

所変わってパプアニューギニアの魔女狩りについて、アムネスティ・インターナショナル、現地警察、現地団体の見解が。2012年付の記事ながらこれがもっとも簡潔に纏まっていると思う。文化背景なども異なるからどんな事件もけして同列には語り得ないのだけれど、マイノリティ被害者やその身近な人が、コミュニティの報復や同調圧力を恐れて、通報や告発を躊躇いやすいのは共通して見られる傾向。
inpsjapan.com/news/sorcery-rel

私の被害はどう考えても明らかに解離性障害やてんかん(または心因性非てんかん発作など)に関する無知や偏見が原因となったもので、調べてみると、ブリジット・クリアリー(1895年に取り替え子として焼殺死)、アンネリーゼ・ミシェル(1976年に悪魔祓いで衰弱死)、国内なら藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件(1987年)他、という風に類似犯罪がこれまでも繰り返されていたことが判明しました。江戸時代には怪談累があり、これは高田衛『江戸の悪魔祓い師』でその詳細に迫ることもできます。でも解離てんかん関係には、アルビニズム・ネットワークのような心強い団体はまだないんですよね。この開きには「わかりやすく目に見える障害か?見えない障害か?」「先天性か?後天性か?」あたりが大きく関わっていただろうと思う。chikumashobo.co.jp/product/978

てんかんの当事者団体はあっても、こういう呪術的ヘイトクライム(とでも言えばよいのか)に強い人はあまりお見掛けしないような感じで。脳神経系の専門医の方々が「狐憑きのお祓いを受けていた」という当事者に会うことはままあっても、ストーカー犯罪等に発展するレベルで何度断ろうとも一方的に聖化(差別です)されてしまったりそのぶん反動的ヘイトを繰り返されたり(ほとんどカルトのご本尊か覚醒剤にされてしまう心境でした)というケースは見つからない。元々少数派だから滅多に起こることではないだろうけれど、それでも世界的に見れば今も人知れず繰り返されているだろうと思われてならないのだけれど。(リンク先は藤沢悪魔祓い事件ほか国内の類似事件。凄惨なので閲覧注意です。)maroon.dti.ne.jp/knight999/fuj

私は解離がさも「奇跡」「守護天使」「精霊」「超人」の類と誤認されていたおかげで、「磔刑に赴くキリストかシシュ―ポスか!」ってぐらい散々な2,30代を過ごす羽目になったのですが、もっと早く教えてほしかったよね。特定の障害者差別が事由で、この手の事件が発生し得る事実は。アルビノ狩りも解離てんかん狩りも、誰も教えないのは不親切にもほどがあります。今は各カルトの宗教2世の方々に強く共感するし、彼らが気の毒でなりません。この記事の被害女性にもかつて強く共感していました。excite.co.jp/news/article/Toca

元二次加害者の方々からは時間は掛かったもののすでにこういう祈りや反省が提示されてしまっているし、ストーカー加害者もどう考えても対人依存症の顕著な女性(年上)だったので、今後については関係者各位のプライバシーに配慮しつつ「告発より啓発を」に軸足を置くことには決めたのですが、被害損益(医療費ほか諸々)などは一切回収できていません。複合差別の当事者は女性であれジェンダーマイノリティであれ、やはり貧困とそれゆえのSWが問題。cnn.co.jp/usa/35035820.html

似たニュースではこれも好き。「世の中、まだ捨てたものじゃない」と思える。被害女性が案外しっかり者だった点もホッとする笑

"「ビデオ録画機はまだ戻ってきていない。すぐ返してくれるといいのだけれど」と女性は語った。“   

窃盗団が障害者女性に謝罪、盗品を返還 トルコafpbb.com/articles/-/3014467

「差別が事由で深刻な後遺症や貧困を寄越されていながら、被害損益が回収できないのは問題では?」というのは確かにあるのだけれど、解離てんかん狩りは啓発がまるで進んでいない。それでも類似犯罪はこれまでも繰り返されていた。前例があるからこそ、アルビノ狩りの被害女性=マリアムさんも、両腕を切断され流産にも追い込まれていながら「私を襲撃した男たちを、許したい」と仰るのでは、とよく思います。withnews.jp/article/f018122100

私は元々、結構深刻な児童虐待の後遺症で【主人格だと思っていた女性人格(姉)】と【交代人格だと思っていたジェンダーマイノリティ(ぼく)】に綺麗に分かれていたのですが、この騒動(解離てんかん狩り)は問題解決能力の高かったぼくでなければ解決できず、何年も出づっぱりだった結果解離が一層強化されてしまいました。ただ今になって思うのは、「ぼくらはもともとジェンダーマイノリティだったのではないか?」ということなのです。『シェイプ・オブ・ウォーター』のヒロインが、「そもそも元から魚人だったのでは?」と言われているように。nlab.itmedia.co.jp/nl/articles

そしてストーカー加害者も、『シェイプ・オブ・ウォーター』のストリックランドによく似ていた。ストリックランドも加害者も宗教右派。極端なまでにマイノリティに固執し、自分の納得のゆくまで虐待を繰り返す。ほかならぬ自分の手で虐待を繰り返しておきながら、それでも立ち上がるマイノリティに「あなたが神だ」などと言って聖化に帰結する点も同じ。ギル神は実際にモンスターという設定だから良いだろうけれど、ぼくは人間だ。聖化は要らない。聖化したところで反動的ヘイトで飼いならそうって魂胆ももう見え透いているのだから。

難治性てんかんも心因性非てんかん発作もいずれにしろ解離を伴う当事者が一定数存在し(意識が混濁しやすいからでは)、解離(DID)については2019年9月オーストラリアですでに画期的な判決が出ている。2500の人格を持つ女性、その交代人格が代わる代わる証言台に立ち、全員で勝訴を獲得した。 bbc.com/japanese/features-and-

この勝訴は解離(DID)の現代的かつ医学的な見識あってのものだったと思うのだけれど、もうひとつ思うのは、マオリ民族の精霊信仰を尊重する文化的土壌があらかじめ培われていたことも大きかったのではと言うこと。実際、2019年のジェニさんのDID勝訴に先駆けて、2017年にはマオリの川の神様が人と同じように法的人格を得る判決が出ている。元々こうした文化的土壌がなければ、そもそも交代人格(と思われていた者たち)の証言を採用しようともならなかったのではと思われてならないんですよね。DIDの医学的見識のみで勝訴できることも勿論重要ではあるのですが。  afpbb.com/articles/-/3121661

解離(DID)を取り扱う作品は『ファイトクラブ』(1999年)が有名だけど、『ファイトクラブ』では結構重要な役割を果たす交代人格タイラー・ダーデンが最終的には消滅してしまう(ように見える終わり方をしていた)。「時代柄だった」とは思うのだけれど、23年の歳月を経て今年公開された『ムーンナイト』では、主人格と交代人格が理想的な形で共存を果たすことに成功していた。「そうでなきゃ!」と思わず膝を打つ思いになりましたね。さもなければジェニさんのDID勝訴もあり得なかったのだから。

実在の精神疾患を扱う『ムーンナイト』の背景。マーベルがドラマ化した「いま、語るべき物語」 | CINRA cinra.net/article/202204-brief

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障害者差別に関してはすでに障害者差別解消法(2016年4月、2021年5月改正法施行)が施行されていますが、現状以下の問題があります。法文に「複合差別」を盛り込むなどどれも重要ですが、経験上、アルビノ狩りや解離てんかん狩りなどは特に③が重要だろうと感じています。

①差別を受けてもどこに相談をしていいかわからない。相談をしても窓口をたらいまわしにされて、結局解決しない。(対策:全ての相談をまず1つの窓口で受ける「ワンストップ相談窓口」の創設を求めています。) 

②紛争解決の仕組みがない。(対策:差別された場合に、本人と事業者の間に立って、建設的対話を通じて、差別の解消を行う紛争解決の仕組みが必要です。) 

③具体的な各則が無い(対策:分野ごとに特徴的な「差別」や「合理的配慮」のイメージを明確にもってもらうために、各則を設けることが必要です。) 

④差別の定義が不十分(対策:現在の差別解消法では、間接差別、関連差別、ハラスメント、複合差別が明確に入っていません。その結果、障害者差別が解消されないことがあります。条約に合わせてバージョンアップすることが必要です。また「障害女性の複合差別」に関する文言を、法文に盛り込むことも目指しています。) 

⑤法の対象の範囲が不十分(対策:条約に合わせて、対象範囲を広げることが必要です。)

dpi-japan.org/blog/workinggrou

解離てんかん狩りはアルビノ狩り同様、いまだ呪術的迷信または宗教的迷信の只中に埋没しやすく、それゆえ以下のような極端な差別的取扱いを被りやすいことが判りましたが、重々啓発して行けばアルビノ狩り同様、人間として、あらためての啓発と平和的対話に臨んでゆけるのではないかと思っています。 

(A)狐憑き、悪魔憑きなどの誤認から祈祷師等のカモにされやすい

(B)奇跡や守護天使などとの誤認から一方的な聖化(祀り上げ)と反動的ヘイト(マジョリティの願望に沿わぬ限りの虐待)の反復を繰り返され憔悴しやすい。たとえ何があろうとはなから聖化型差別なのでマジョリティ本位な虫の良い祈りも寄越されてしまいやすく、批判も賠償請求もしづらい

(C)異国情緒ならぬ異界情緒に惹かれやすいマジョリティ本位なエキゾチシズムや無邪気な好意好奇心から、天使、妖精、妖怪、神仏の類として偏ってアート資源にされやすい割に、基本的人権を保障しうる美的労働としては全くカウントされないため、本来不要な筈の作品化負担や心労も多大に寄越されてしまいやすい(←アート・ハラスメント問題)等

blog.canpan.info/nfkouhou/arch

解離てんかん狩りはアルビノ狩り同様、加害者に該当する人々もけして「教育水準が高い」「恵まれている」「福祉や医療のサポートに確かにアクセスできている」とは限らず、それゆえ悩みを抱える人、不幸せな人、路頭に暮れている人が多い印象を受けました。さもなければ「特別な力が宿る」とされる身体や存在に極端な形で固執したり魅了されることもなかったでしょう。これまで繰り返されていた類似事件の数々(ブリジット・クリアリー、アンネリーゼ・ミシェル、藤沢悪魔祓いバラバラ事件等)を思うに、いざ旧統一教会などの巧妙なカルトに取り込まれると自力では脱出できないような人も多いのではと思ったりもします。こうした背景もあって、やはり告発より啓発を重視したいと思っています。重要なのはアルビノ狩り同様、こうした資料を作成したり、平和的対話や交渉を重ね、前向きな啓発を続けてゆくことでしょう。nippon-foundation.or.jp/app/up

マラウイでは昨年、アルビノ初の国会議員も誕生しており、障害種別は異なるのですが大いに励まされる思いになりました。解離てんかん狩りで先人を見つけることが難しかったので、ぼくは長年アルビニズムの方々に励まされてきました。先述したストーカー被害で被害損益は確かに負わされたのですが、親切にしてくれた方も多くいたので、解離てんかん関係もこんな風に前向きに啓発して行ければと日々思います。 

“「障害者、特にアルビノの人には自分を過小評価する必要はないと言っておきたい」として、「目標に向かって懸命に努力しなければならない。私が手本であり続け、彼らがより高い目標を持てるようもっと刺激を与えていきたい」と抱負を述べた。“ 

初のアルビノ国会議員誕生 マラウイ afpbb.com/articles/-/3374428

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