行政法学には「透明性原則」というものがある。これは「行政運営/行政過程が市民にとって明らかになっていなければならない」というものである。かかる観点に立てば、行政運営/行政過程において「公金がどのように使われているか」について市民に公開/周知されなければならない(これは「民主的責任行政」の観点からも当然の事となる)。したがって「使途を公開しない事」が前提となっている内閣官房報償費(官房機密費)は、明確に透明性原則に反すると言える。
尤も、透明性原則は「市民に公開/周知されればそれで良い」というものではない。「公開/周知された上で真実が明らかになる」事によって初めて充足されるというものである(真実性原則)。たとえば「公開されたが虚偽の内容だった」とか「公開されたが重要な要素について不分明である」といった場合、双方共に透明性原則に反する。