「緊急時において国は法令の根拠がなくても閣議決定を経れば地方自治体を指揮下に置ける」という内容の地方自治法改悪案を目論む自由民主党政権。これは地方自治法第245条の2に規定される「関与法定主義」を没却するものであり、延いては「地方自治の本旨/団体自治」に反する。憲法92条により「地方自治の本旨」に反する立法はできない。
「在宅投票制度廃止事件判決」において「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けないものといわなければならない」とされているが、当該改悪案についてはここで言う「例外的な場合」に属するであろう。
憲法第98条第1項で「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」とされている通り、個別法によって憲法の趣旨を滅却する事はできない。オットー・マイヤーの「憲法が滅んでも行政法は存続する」という言説は、通用しない。