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コイカラ13(あむあず) 

 不可抗力で偶然で、決して意図して青年を狙ったわけではないというのは主張したいけれど、結果だけを見れば、梓が投げたボトルが彼の額に直撃したという事実に変わりはない。そんな理由もあって、やはり彼をここに寝かせたまま見捨てるわけにはいかない。
「なるほど。それでポアロなんですね」
 そんな梓の主張にわかりましたと納得すると、沖矢は彼女の足元で相変わらず眠ったままの青年をのぞき込むようにしゃがみ込む。トントンと肩を叩き、反応がないことを確認して、さらに頬を軽く叩く。それでも反応がない。これで起きてくれれば肩を支えながら歩くなどの方法を取ることができたのだが、それは無理そうだと小さく息を吐いた。

 梓が沖矢と青年のふたりを連れてポアロまで帰ると、マスターはたいそう目を丸くして驚いた。
「そう、そんなことが。とにかく、榎本さんに怪我がなくてよかった」
 補充のための買い出しを遂行できなかったことについて、店に帰って一番に謝罪する。これでは午後からの営業はサンドイッチはなしの、デザートと飲み物だけになってしまう。正直なところ、サンドイッチの売上のメインは、ランチタイムよりもこれから始まるカフェタイ厶。

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