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コイカラ07(あむあず) 

 梓が対応しても問題はないのだが、先日、マスターに話したいことがあると言っていたことを思い出す。梓を通じての伝言ではなく直接話がしたいと言っていたので、こうしてタイミングが合うのならそれを逃す選択肢はない。
 代わりに買い出しに行くと梓が主張すると、それじゃあお願いしようかなとマスターから買い出しのためのカバンと買い物リスト、それから財布をあずかった。

 店の外に出ると、狙ったようにびゅうと風が吹いた。
 どこからか飛んできた桜の花びらが舞い上がって、梓のまわりを踊るようにくるくると回る。
 狭い道を抜けて視界が開けると、長く先へと続く桜並木が広がっていた。
「これは、お花見がしたくなるのもわかるわ」
 梓が買い出しに出る直前にテイクアウトのランチボックスを注文した女性グループ客が話していた内容を思い出す。彼女たちは桜が満開になっている公園で花見をしながらランチを食べようと話をしていた。
 道の端に足を止めて、カバンからボトルを取り出す。中には、店で入れたコーヒーが入っていて、蓋を開けるとその香ばしい香りが梓の鼻孔をくすぐる。
 こくりとコーヒーを飲んで、ほんの少しお花見気分を味わう。

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