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コイカラ06(あむあず) 

 サンドイッチのセットを渡して、これから向かう場所について楽しそうに話をする彼女たちを見送った。
「梓ちゃん」
 ドアが閉まったのを見届けてから、マスターが梓に声をかける。どうしたのかと振り返ると、彼はポアロの制服でもあるエプロンを外して、薄手の上着を手にしている。
 いま見送ったばかりの彼女たちのように、テイクアウト用のサンドイッチのセットにいつもよりも注文が入って、サンドイッチを作るための食材が予定以上に減ってしまっていた。ランチタイムのピークも過ぎて、これからはカフェタイムに移ろうとしている。がっつり食事として食べるランチに比べればサンドイッチのセットを注文される割合は減るものの、小腹がすいた軽食としてつまむ客もいる。
 足りなくなった食材を買い足すために市場まで出かけるなら、ランチタイムのピークが終わり、本格的にカフェタイムとして客が入り始める前のいまのうちだろう。
 いってらっしゃい、と見送ろうとして、ふと気づく。
「待ってください、マスター。これから鶴山のおばあちゃまがいらっしゃると、さっき連絡があったんです」

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