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コイカラ02(あむあず) 

「いらっしゃいませ。カウンター席でしたら、すぐにご案内できますよ」
 空きがあるのは、たったいま会計をして見送った男性が座っていた席。食器を片付けて諸々のセットさえすればすぐにでも案内できると伝えると、彼女はよかった、と胸をなでおろした。
 婦人と梓がやり取りしている間に、店内で忙しく動き回っているもうひとり、マスターの手によって席の準備が整えられる。
「梓ちゃん、準備大丈夫だよ」
「マスター、ありがとうございます。──どうぞ、おまたせいたしました」
 準備完了のOKが出たのを確認して、改めて婦人に向き直る。カウンター席に案内すると、おすすめは何かしらと問われた。
「おすすめは、オリジナルブレンドのコーヒーと、サンドイッチのセットです」
 コーヒーはマスターが懇意にいている仕入先にお願いしているもので、いくつもの種類の豆を毎日ブレンドしている。いつも安定した同じ味を提供できるよう、その日の気温や室温、仕入れた豆の状態を見ながら、細かくブレンドする。マスターが腕によりをかけた一杯は、ここ喫茶ポアロが自信をもってお届けするメニューの中でも一番多く注文されていて、名実ともに看板メニューとなっている。

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