読みさしの本を中断し、NHK出版新書で出てる斎藤幸平『ゼロからの「資本論」』を読んだ。

自分は経済史のゼミだったので、マルクスの『資本論』その他の本は必読書になっていたし、学生時代はいわゆるニューアカブームのさなかで、マルクスの読み直しみたいなことはブームでもあり、何よりマルクスの文章は、カッコ良くて面白いので、マルクスの本や色んな解説書を読んできたけど、この本はマルクスあるいは『資本論』の入門書として、大変平明で読みやすい一方、独特な解釈や現代的な事象の取り込み方などにおいて、相当独特だったり、そういえばそうだったなと改めて思い出すような所もある、ちょっと変わった、面白い本でもあった。
例えば、賃上げより「労働日(時間)の短縮」が大事だと強調するのは、確かにそうだったなあと思い出したし、戦後の福祉国家の方が、ソ連的な「国家資本主義」よりマルクスのアソシエーションの考えに近いと断言していたり(福祉国家の限界はしっかり指摘されている)、晩年のマルクスの思想を「アナーキスト・コミュニズム」と呼んだり。
ブームになった『人新世の「資本論」』より、よりコミュニズム論の力が入れられていて、「パリ・コミューン」の価値を強調したり、ウィリアム・モリスに触れているのも良かった。おすすめ。

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