原作はサガを正義と、アニメはアイオロスを反逆者だと心から信じたからこそ「迷いなく」討ち、そしてその行動は誤りだったと紫龍との戦いを通じて悟るのが肝要なのであって、兄と慕う相手を誅する葛藤はドラマをブレさせるのではないか。
さておき、アイオロスへの敬慕を読み筋として入れるなら、アイオロスには血をわけた弟アイオリアが存在するのが重要だと思う。慕っていた兄の裏切りに対する怒りや悲しみ、愛する兄を自らの手で討った苦しみ(そして兄の正しさに涙する喜び)もアイオリアがいる以上シュラは他人として味合わねばならず、宙ぶらりんの状態に置かれる。なんとなれば、作品世界において兄弟愛、それも血統に準ずるものこそ至高であるのだから。