山本文緒の「自転しながら公転する」読んだ。
久々に長編文庫本を一気に読んだけど映画を一本見たような読後感がある。題材は30代前半の女性の恋愛の悩みや仕事での人間関係のうまくいかなさ、実家暮らしでの親との関わりなどとにかくさまざまな問題を詰めまくって駆け抜けた感じだった。
主人公の相手役の男性の性格が苦手すぎてあんまり登場人物に対して共感できないまま読み終わってしまったんだけど、最良の選択肢を目指さなくてもなんだかんだで人生はある程度良いことあるよというメッセージ性は伝わった気がする。
ただ、細部を追うと特定の登場人物の存在のおかげでなんとかなった部分が大きい気もする……。気になるところはあれど、主人公の苦悩の描写はすごい生々しさがあって良かった。