しつこいくらい宇治編は別人が書いてる派なのですが、常に体から妙なる薫りがするという薫君の設定は二次創作が拾った謎要素で、
乳幼児の匂いってあるじゃないすか。メープルシロップと焦げたビスケットみたいな、なんともいえない皮脂のいい匂い。
それまで源氏は、実の息子夕霧は左大臣家にお任せだし、姫はしっかり者の女たちに任せてまだ若いから自分の恋愛でそれどころではなく、乳幼児が自分の家にいるというのをじっくり付き合ったことがなかったんですよ。
紫の上が死んで、もう女漁りもする気がなくなって家にいる。女三の宮は頼りにならないから薫は源氏の手元で女房たちが育ててる(多分)。老いた色男は初めて、これから伸びていく新しい命の匂いに気づく。ああ、色事の結果として生まれる、そうか子供ってこんなだったのか、と許せなかったものが溶けていく、ラストの「雲隠」がただの滅びではなくなるというメタファーであって、
不思議の力で身体からいい薫りがする主人公補正! という薫君設定はなんかちょっと違う。違うんだよなんか。千年前の作品に深夜になに言ってるんですか。