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ラフカディオ・ハーン 怪談 
gutenberg.org/ebooks/1210
「十六桜」を筆耕しました。ハーンの再話は色彩感覚がビビッドで映像的。この頃、カラー映画はなかったのではと思いますが、絵画や写真のセンスを思わせる情景描写があります。

伊予国、武家の庭に咲く齢知れぬ桜、毎春その枝にとりついて遊ぶ子供たち、細枝にひるがえる色とりどりの和歌の短冊。

子孫も絶え桜のみが友であった老武士は、枯れた桜を甦らせるために自らの命を捧げる。ときに旧暦の1月16日、木の下に広げられた真っ白い布、老人の霊を宿して冬の最中に蘇り花開く桜。美を愛する繊細な心と、理解しがたい異教徒の戦士としての暴力性が共存する不可解な主人公。これは日本人には書けない。外側からのもう一つの目が映し出す我々のデモーニッシュな一面であるかと思う。

この時代に何の説明もなくハラキリという単語が出てくる。そんなに有名だったかハラキリ。

日本語訳だと「怪談」のみですが、英語の副題は「奇妙な物事に関する物語と研究」なんですね。

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