大岡昇平は1905年頃の日本には小説でも批評でも詩でもない「文」としかいいようのないジャンルがあったことを述懐しています(『小説家夏目漱石』)。室井作品はたとえば漱石の諸作品がそうであったような、西洋的な「小説」という制度からはみ出しつつ「文」としか言いようのないような圧倒的な思考を展開する書き手です。
その室井作品最大の長編『エセ物語』のクラウドファンディングが募集中とのことです。
現時点だと、室井作品は中央公論新社から刊行された『おどるでく 猫又伝奇集』が入手しやすいです。
他に双子のライオン堂から『多和田葉子ノート』『詩記列伝序説』が刊行されています。
https://www.threads.net/@kawamura_nodoka
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文芸批評/書評。「しししし4」に「良心の呼び声 小林秀雄と中原中也」を、週刊読書人に書評を掲載。文学+ウェブ版に書評連載。小児喘息で友達ができなかった頃、創作を通して周りと仲良くなれた経験から文学が大好きになりました。 パニック障害で移動に制限あり。