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印刷費があがると、製造原価率を下げるために発行部数を増やすか、本体価格を上げるほかない。

どちらも見込めないとしたら、宣伝・販促費を抑えるか、他の制作費(取材費、原稿料、編集料、翻訳料、デザイン料、校正料…etc.)を削ることになる。

加えて卸掛け率があがると、出版社の諸経費(倉庫代、通信費、旅費交通費、賃料、管理費…etc.)にも節約志向がつよまる。

けれども(新刊、新古書、古本、インディー問わず)書籍市場にはパレート則が働くから、一部の人気作を除けば不採算リスクはどうしても高まる。

そうなると、定期購読者が十分いる雑誌とか、バズをコンスタントに生み出せるオウンドメディアを持たないところは、大なり小なり資金繰りが厳しくなるのではないか。

書籍市場の販売サイクルに合わせて企画を尖らせたり、運転資金を増やせるといいのだろうけど、そうではない中小企業・個人会社は月々のキャッシュフローを回せる収益源がなんであれ欲しいところ。かといって、金融・不動産で稼げるところは多くないはず。

結果として他事業(イベント、広告・PR、開発、コンサル)や他業種(施設運営、飲食店、小売店、一次産業)への進出があちこちで試みられているように見えて、この状況は「近世」の「草紙」市場に回帰しているなと思う。

近世出版でいう「物の本」の「版権」が現代日本では「IP」と呼ばれていると見立てたとき、複製&消費の対象が「版面」から「画面」に変わったとはいえるのかもしれない

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