寡占という発想が馴染まず、分け合えば分け合うほど増えていくのが本。本は読めば読むほど読みたい本が増える。売れる本が増えれば増えるほどほかの本も売れる。本は一冊で独立できないので好むと好まざるとに関わらず人懐こさをもつ。まじめな読者はその無際限さを警戒し、友と敵とを明確に分けたくなるが、いい本は友と敵をパキッと分けられないことを前提としてとにかく関係の輪をどんどん広げる。そのうえでどう調整したものかと悩む。悩むからまた読む。本は散らかす。どんどん手を繋ぐ。ごちゃつく。なにかすっきり言い切れるような整理がなされる気になるようなとき、それは本が足りていない。わかりたいだけなら本は読まないほうがいい。わからないを広げるために読む。
本は買えば買うほど増える、これは当たり前。