「自分大好きですね」みたいな揶揄をいただくからこのことについてよく考えるのだけどいまだにうまい言葉が見つからない。だからまだよくない解釈の幅があるというか、受け取る各人のなかにある語義の個体差が大きいようにしか言えないのだけど、自分のことがとくべつ好きでなくても自分のことに関心を持ったり気にかけてあげることは可能だと思っていて、好き嫌いのような感覚や、才能だとか能力だとかいった社会的な評価軸に照らし合わせて自分をジャッジするような感性や、この自分を肯定できるかどうかといった倫理とはまったくべつのところで、自分に自足するというか──この自足というのがどうも現状肯定みたいなニュアンスを引き連れてきてしまうからあまり適切ではないと思ってはいる──とにかく自分のことを、とても好感は持てず価値も感じられず否定すべきところも多いものであるところの自分を、一個の事実として認めつつ、それを面白がるというか、玩具のようにいじくっていくような態度で、あわよくばすこしでもマシな方向にもっていこうという遊びの感覚があり、そのような感覚において僕は僕のことばかり考えている。他人のことを玩具のように扱うのはダメだから手近な自分で遊ぶのだが、これを自己愛とだけ片付けられてしまうとなんとなく物足りないような気持ちになりはする。