この数ヶ月視力の低下が無視できなくなってきて、眼鏡の度数を変えた。世界ってこんなに輪郭がくっきりしてたのか。
子供のころからフィルム時代の映画に親しんで、ざらついた肌理こそが「ほんとう」で、4Kテレビのようにぱっきりとものの輪郭が際立つ映像を嘘くさいと感じてきた。
こうして視力が適正に矯正されると、あのうさんくさいほどに明快な画面はたしかにリアルへ迫る試みではあったのだなと一応の納得をする。
いま僕の眼前に広がるあらゆるものが明確な外縁を主張する様子を見て、まるで高級な薄型テレビのようだ、と考えてしまう僕のほうが映像機器よりもよっぽどバーチャルな位相で生きている。