杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、9月号(8月刊行分)その3です。
杉江さんがリリア・アセンヌ/齋藤可津訳『透明都市』(早川書房)、私は奥泉光『虚史のリズム』(集英社)を紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?si=_eADwjMDhR-oQTIB&v=tw1URjEMhfY&feature=youtu.be
『透明都市』は、犯罪抑止のためにすべての建物がガラス張りになった都市で起こった事件を描きます。一種の相互監視ディストピアものですが、細かい設定を詰めた都市SFというより、思考実験小説の色合いが強い一作です。
『虚史のリズム』は、A5判ハードカバーで1000ページ超えの大作です。動画で触れたようなSF設定を「持ち込んでいる」とも言えますが、「SFとしても読める」ことが仕掛けの一部とも言えると思います。他の奥泉作品とのリンクもあちこちにあり、作者の集大成的な一冊です。