杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、4月号(3月刊行分)その3です。
私は、江波光則『ソリッドステート・オーバーライド』(ガガガ文庫)を紹介しました。
戦場に迷い込んだ少女を家に送り届けるためロボット2体が旅をする……というあらすじからはたぶん想像できない、独特のSFロードベルです。思考金属(シンク・メタル)――思考をエネルギー源とする金属――というアイデアと、類例のない3原則――「人にならねばならない」「人になってはならない」「何も見てはならない」――から生み出される(屁)理屈の応酬が楽しい。
杉江さんは、コーマック・マッカーシー/黒原敏行訳『ステラ・マリス』(早川書房)を紹介されました。
同時に発売された『通り過ぎゆく者』と対になる一作です。私は二作を並行して読みましたが、なかなか手強い。SF読者にはおなじみの学者や理論がちらほら登場するので、そこを手がかりになんとか挑んでみました。とりあえず『ステラ・マリス』が数学篇、『通り過ぎゆく者たち』が物理篇と言うことはできそうです。