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杉江松恋さんとの月例SFレビュー番組「これって、SF?」、4月号(3月刊行分)その1です。

私は、田中空『未来経過観測員』(KADOKAWA)を紹介しました。漫画『タテの国』などで知られる作者の小説デビュー作で、私家版も話題になりましたが、書き下ろし一篇を加えて商業出版されました。
現在の延伸だけではたどり着けない、果ての果てを想像する楽しみが詰まったスケールの大きな作品です。この設定なら500年くらいまでの未来社会をスケッチして軽いオチをつけるのもアリだと思うのですが、5万年後まで突き抜けようというその心意気を買いたい。

杉江さんが紹介されたのは、ジリアン・マカリスター/梅津かおり訳『ロング・プレイス、ロング・タイム』(小学館文庫)です。
息子が殺人を犯した日を起点に、母親が少しずつ時間を逆行します。時間SFとしては若干緩いのですが、動画で述べた通り家族小説として沁みました。なぜ息子は罪を犯したのか、自分には何が出来た(出来なかった)のか――逆行するたびに思い悩むことは増えるのに、周囲との関係はいちいちリセットされる。とくに前半は、乳幼児期とはまた違う思春期ワンオペ育児の悩みに刺さります。
もちろん、特殊設定ミステリとしてもおもしろいです。
youtube.com/watch?v=cy2JlOj8qc

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