この映画には家族が出てこない。人間関係は友人と同僚だけ。それ以外のソーシャル関係が出てこないので、どことなくSF的な空気を感じる。知珠に投げかけられる「LINEとかないんですか」の言葉で、この映画に、そういう「バーチャルなもの」が登場しないことに気づく。知珠はスマホをあんなに見てるのに、永遠に彷徨っているし。写真はデジタルデータじゃなくフィルムだし。
3人から離れていった、いなくなった猫、死んだ友人、転居した知り合い。不在の人間関係の網の間で浮かんでいるような彼女たちのリアリティを担保する歩行とダンス。そこに伴走する音とリズム。かっこいい融合だった。