『きみうつし』アンチエイジリーバルとやくもく生まれテバくんの幻覚供養ツリー 

大厄災を退け、原作とは違うもう一つの世界線となったハイラル(以降やくもくハイラルと呼称)では、未来からの救援者として参じたテバとは別のやくもくハイラル生まれのテバが存在することになるのでは?という与太話を元にしたお話

原作世界生まれで救援者のテバ、やくもく世界生まれのテバ、の二人がいる。体験してきたことが違うのでハッキリ別人だが、いわゆる並行世界の自分で魂は同じ、みたいなやつ。

テバへの執着心の答えを出せないまま寿命が迫ってきたリーバルは、シーカー族の古代技術アンチエイジを利用して一つの賭けをすることにした。
それは此方の世界で生まれ育つはずの“テバ”を探しだして、あのときと同じ年頃の自分の姿でやり直して共にあることで、あのとき見つけられなかった答えを出す計画。
とかそんなん。

単にリーバル様のためのリーバル様のために在る少年テバくんが見たかった欲望の産物

『きみうつし』幻覚供養② 

アンチエイジリーバルとやくもく産まれテバくん(以下Tくん)の関係性メモ書き。

基本的におにショタ(?!)だが、リーバルがめちゃくちゃ囲い込んだ負い目を感じているので、Tくんが望めば幾らでも下やってくれると思う。
ただしTくんの方が原作テバよりもリーバル様のお願い全部叶えるまで止まらない暴走機関車くんになってるので、結果としてはたぶん半々くらいなんじゃないか。
倫理観を備えてるだけで、感情粘度的にはだいぶ尽くし系ヤンデレってるのでリーバルが手綱を取ってないと危うさが原作テの非ではないTくん

リーバルにとっては、ようやく見つけ出した君だし、あのとき助けてくれた君ではないけれど色を失った孤独を埋めてくれたやさしい君だし、本当に真実誇張なく僕のためだけに生きて傍に居てくれるテバなので、めためたに甘やかしたい可愛がりたい。実際マジでテバにそっくり同じでかっこいいし強いし愛弟子だし、小さい頃からそばでお手伝い役に駆け回っていたせいか何と気が利く。あのときの君のように生意気なところが無いのは、少し寂しいけどね。

『きみうつし』幻覚供養③ 

やくもく生まれテバくん(Tくん)側は、元から大厄災の英傑伝説にめちゃくちゃ憧れて戦士を目指している憧憬ボーイなところに、幼少期に族長老リーバル様に見初められて側仕え髪結いのお役目もらったため、その日からずっとリーバル様大好き!拒絶されるまではお側に在ります!なにこにこピュアくん、リーバルの良心にダイレクトアタック。

あの日からの憧れた人、美しい人、俺の夢、俺の全てをかけても輝いていてほしいしそのために力を尽くすと誓った人なので、めちゃくちゃ大事にしたい。あの人の孤独を癒せるのなら、俺は、誰かの代わりだって構わないんだ。俺は、あの人の命かけた戦いのおかげでここにあるのだから。原作テバにも増してリーバルに心酔しているのをひた隠しにしている危うい青年くん。
昔から心酔がヤバいので、幼馴染みたちがめちゃくちゃ頑張って良識を叩き込んだため、ぎりぎりヤンデレではないし、自分の勝手な決心を明かす気はない。

そういうわけでリーバルは知らないままだけども、このTくんは昔から自分が一番リーバル様のお側にいるためにってめちゃくちゃ色んなこと頑張ってきてるのでかなり独占欲求があるよ。
いつでも身を引きますみたいな顔しといてでもリーバル様の一番は譲りたくない「本物のテバ様以外には絶対に負けない」やつ。

『きみうつし』幻覚供養④族長様とTくんの出会い 

《あらすじ》
リトの族長として視察に来たところ、練習中の子供達が誤って打った流れ矢が飛んで来たので、その流れ矢をわざと避けずに髪飾りにぶち当たったところを風で捕まえて返しながら「ああ困った。髪留めが壊れちゃったから結い直さないと。誰か手伝ってくれる人はいないかな?」などと言って憧れの人に粗相をして蒼白になっている幼気な少年Tくんをナンパお持ち帰りしていく族長レバリ第一話

《出てくる人》
族長リーバル様:未来に帰っていったテバに未練がありあり。プルアのアンチエイジ研究に出資しており、揺り椅子で族長引き継ぎ書類を作りながら技術確立の報を待っているところ。

やくもく産まれTくん:何も知らない。英傑伝説や厄災物語への憧憬は人一倍の戦士を目指す少年。族長様?カッコいいよな!大好き!

族長リーバルの側近たち:真面目な方とチャラい方。いつもお菓子くれる方とテバが気を使わなくて良い方。真面目な方はテバに似てるから選ばれたし、チャラい方はテバに全く似てないから選ばれた。

講師役のリト隊長:子ども達に戦士のお仕事について体験紹介する簡単な業務の筈が、何故か当日になって急に族長様が視察に来るわ、ヤンチっ子が(※Tくん)が弓を暴発させて族長様の方にぶっ放すわで泣きたい。

『きみうつし』幻覚供養⑤族長様とTくんの出会い 

 普段は「僕の教えられることは全部書物にまとめてあるから言うことは無い」とか言って教鞭取るのを避けるのに、春先の見習い戦士の訓練が始まる頃に「今年は白毛金眼の子どもがいる」と聞くとふらりと顔を出す族長様と(分かりやすい人だなホント)と思いながら黙ってついてく側近。
「族長様ゾーラにもゲルドにも顔が利くんでしょうちょっと良い女の子紹介して下さいよ」と縋る側近くんは無視するけど「族長様だって若い頃モテたんでしょ必勝ナンパ術とか教えて下さいよ」と言うと「ナンパする必要が無いから知らないねあと僕は今もイケてるから」と拳骨が飛んでくる。 
 視察先で監督役を振り切って弓矢で大暴れしてるTくんを見つけて「気が向いた、ナンパのお手本みせてあげるよ」とわざとその暴発した矢が自分の髪留めに当たる位置に立ち、憧れの人の髪留めを壊して顔面蒼白になったTくんを宥めて言いくるめて連れ出した族長様。
「それはもう人攫いのやり方なんですよナンパじゃなくてね」
「あの子が髪留め壊した代わりに髪を結ってくれるって言うからお願いしただけだよ」
「健気な子供の憧憬を踏み倒して囲おうとした悪い大人が何か言ってる!」
「何のことかな。減給処分がお好みかい」
「ひでえや」
ちゃんと夕方には家に帰した。

『きみうつし』幻覚供養⑥族長様のTくんナンパ前編 

「今年もいましたよ~白毛に金眼の」
「ふうん。見に行こうか」
「ずいぶん威勢の良いやつで、ほとほと手を焼いてるとか」
「ははっ!リトの戦士は度胸がなけりゃ戦えない。なかなか見込みがありそうじゃないか」

◇視察に行くか~!で訓練場へ

 リトっ子の訓練指導するリト隊長に挨拶しようと思ったら空気を震わす怒鳴り声

 勝手に弓を持ち出して引こうとする少年テバくん!

「もしかして、あれかい?」
「みたいですねえ。」
「へえ……あの子、名前は?」
「たしか──……」

 わちゃわちゃ取っ組み合ってるリト隊長と少年テバくん

「──なるほどね」

 ふっと一瞬だけ眉を潜めて微笑むリーバル。

「気が向いた。ナンパのお手本、みせてあげるよ」

 すっと片手を上げて止まるリーバル
 あれ?なんで手を、と側近が疑問に思うまもなく
 びっ!と少年テバくんの弓が暴発する

「え?」

 顔の横を通りすぎる矢にも不敵に笑うリーバル。まるで分かっていたみたいに。

「あーっ!!!」

 矢の飛んでいく方を見てなんてことをと顔真っ青のリト隊長とテバくん
 
 がきん!!とゾクチョー様の翡翠の髪飾りを撃ち抜いてすっ飛ぶ矢。はらりと広がり落ちる群青の髪。
 

『きみうつし』幻覚供養⑦族長様のTくんナンパ中編 

 しかしゾクチョー様の操る風で髪飾りも矢もふわりとゾクチョー様の手に収まる。

「ぞっ、族長様!!申し訳ありません!おっ、お怪我は……!!!」

 駆け寄るリト隊長を片手で制して、すっとテバくんに近づくゾクチョー様

「打ったのは君だね?なかなか良い射を撃つじゃないか。その歳でハヤブサの弓を引ききる腕力も申し分ない。」
「ご、ごめんなさ、……え?」
「はい、矢は返すよ。ついでにコレもあげる。壊れちゃったからね。僕の髪留めにはもう使えないけど、削って整えれば、君の帯玉くらいにはなるだろ。」

 ほら、と砕けた翡翠を少年の手のひらに転がす。

「結構きれいだろ?」
「あ、はい………、じゃなくてっ!あのっ!俺、ごめんなさい!ゾクチョーさまの、髪留め……壊してしまって。」
「べつにいいよ。昔から使ってたってだけで、そんなに執着があるわけでもないし。……ああでも、このままの髪だと、仕事の邪魔にはなるかもな……」

 ううっと青ざめて俯くテバくん。その顔の横に下がっている髪留めがキラリと光り、リーバルの目に留まる。

「あれ、君の髪留め……木じゃないね。ヒスイでもない……これは、コハク?」
「はい、父ちゃんが、木製だと俺が暴れてすぐダメにしちまうからって、特別に……」

『きみうつし』幻覚供養⑧族長様のTくんナンパ中編 

「うちの父ちゃん、テバ様のファンで、テバ様にならって俺の名前をつけたんです。琥珀の髪留めも、おんなじテバ様の由縁で」
「ふうん……テバ、ね」
 ぴくりと眉を動かす族長様。しかし、深く追求はせずに、ぽん、と少年の頭を撫でる。
「なかなか良い品だ。大事にしなよ。それじゃ……」
 踵を返す族長様の後ろ頭に揺れる翡翠の髪留め達を見て、はっ!とひらめくテバくん。呼び止める。
「あ、あの!ゾクチョーさま!おれ、お詫びに髪結いのお手伝いします!!」
「髪結い?」
「髪留め、壊しちゃったから……その、そうだ、これ!」
 自分の琥珀の髪留めを外して差し出すテバくん。
「これを、ゾクチョー様の翡翠飾りの代わりに!」
 あらま~っ!(おいおいおいプロポーズのお決まり文句じゃねえの、ガキは知らんだろうがねえ……)と面白がって見守る側近ズ

「そうか……お詫びだって言うなら、受け取らないのも悪いね。じゃあ、せっかくだし結うのも君に頼もうかな?」
「お、おまかせください!」
「じゃ、ちょいとこの子借りてくよ。いいよね」
「は、はい、構いませんが。」
「あ、それと今日の執務は休むから。急ぎの用件以外は回さないでくれ。よろしく」
 とウインクしてテバくんをお持ち帰りするゾクチョーさま。

『きみうつし』幻覚供養⑨話構成の全体メモ|い 

1話 リーバルの髪を結うお務めに励むテバ少年
リトの村の少年テバは、毎朝、村の螺旋階段を昇って族長様のお部屋を訪れる。それは彼だけに任された仕事であり、彼が自分自身に関することで一番に誇らしく、宝物のように思っている時間──族長様の髪を結う役目を果たす、朝の日課だ。

>1話~3話:族長爺のリーバルと少年テバくんの話
大厄災を経てリーバルがどんな立場になったか。
復興・発展したリトの村の様子。
テバくんの家庭と友達周り
リーバルの側近たち 真面目な方とチャラい方。いつもお菓子くれる方とテバが気を使わなくて良い方。
リトの英傑と疾き救援者の伝説
コログが見えてびっくりするテバと笑いながら友達を紹介してくれるリーバル爺
結うのが上達するテバくん
式典用に別のひとに髪のセットを頼むリーバルに焼きもちをするテバくん(この日はお仕事お休みね。と言ってからむくれちゃって機嫌が悪くてどうしたんだろう?からの、プロの髪結い役と一緒にやってもらうところ見て勉強する、今後、戦士の技術とは別に此方の髪結いプロにも師のように通って教えてもらうことになる)

『きみうつし』幻覚供養⑩話構成の全体メモ|ろ 

◇4話くらい。族長リーバルの死とアンチエイジ
 いつもテバに髪を結ってもらう間にメールのチェックをするリーバルが、ある日に届いた一通の手紙を見て大きな声を上げる。予定変更、急用ができたと言って慌ただしく外出の準備をするリーバルは、飛び立つ直前に「今日、僕が帰ってきたら特別良いことがあるからね。楽しみにしててくれていいよ」と悪戯っぽくテバに囁いて出かけていった。リーバルの準備したサプライズとはいったい何なのか、期待に胸を膨らませてリーバルの帰りを待っていたテバが耳にしたのはしかし「族長リーバルの訃報」の急報だった。幼いテバは初めて親しい人の死に直面したショックを受け止めきれずにいる中、寂しさをまぎらわせるために足を運んだリーバルとの思い出の場所で、一人の奇妙なリトの青年と出会う。

《tips》やくもく産まれTくんのお務め
 やくもく世界生まれTくんは、族長リーバルの髪結いお手伝い役としてお傍に侍っているのが基本設定になっているので、将来かなりファッションセンスに優れたオシャレくんになる。自分がリーバル様のメンツの一部(ファッション)を担っている自覚があるので、「似合いそうだから」「好きそうだから」で髪留めとかスカーフとか小物とかめちゃくちゃ買ってくる(自費)

『きみうつし』幻覚供養⑪話構成の全体メモ|は 

>5話~7話:アンチエイジ若リーバルと少年テバくんの話
古い初代飛行訓練場を遺産相続するテバと保証預かり人のリーバル(族長リーバルの親戚設定)(ハイラル城下町に遊学してたのを族長の死を機に戻ってきた設定)(村の戦士組合には入ってない)本当はテバへの遺産だけど幼いテバにはまだ相続が難しいから大きくなるまでは間に若リーバルが間に立って運用や手続きを肩代わりする。
いつもの飛行訓練場が二人の秘密基地なやつです。
リーバル様に勉強をみてもらう。
アンチエイジした族長リーバル様のことは「秘密」なので、そのせいで友達とケンカになってしまうテバ
リーバル様のところにお泊まり
メドーの夜間飛行
訓練中に魔物が乱入!今はまだリーバルに守られてばかりだけど、いつかリーバル様を守れるくらい強くなります!の決意テバ

ごほうびに伝説のテラコ(まだ姫様が存命なので稼働中)に会いに行こう

弓術大会・戦士の認めを経て一応、一人前の成人となるテバくんと、全然年齢が変わらないように見えるリーバルお兄ちゃん(うるさいな!背は伸びてるだろ背は!君がでかくなりすぎなんだよ!!わかってたけど!!)

『きみうつし』幻覚供養⑫少年Tくん時代のネタまとめ 

◇弓はこうした方がいい。君は飛び方にくせがあるとテバくんにアレコレ教えるリーバル。
「買うんなら、鎧は大きい方がいい。君は成長の見込める元気な子だから。余裕を持たせないと」
「リーバル様は、おれのこと何でもわかっちゃうんですか?」
「うん?まあね。後輩を育て上げるのも立派な戦士の仕事さ。もう少し君がおおきくなったら……もっと君に合わせたアドバイスをしてあげるよ」
「もっとわかっちゃうんですか?!おれ、リーバル様に何でもバレちまうのかな」
「フ、そうだ、分かっちゃうんだよ。ずっと、見ていたからさ……」

◇「おいテバ!また、“リーバル様”のところかよー!」死んだはずの族長リーバル様のとこへいく約束が疑われて友達からハブにされるテバくん。
「寿命が来てしまったけどリトの村が心配だから、山の神様に頼んで、精霊の仲間にしてもらったんだ。普通の人には知られちゃいけないから秘密だよ」
と上手いこと言って友達を納得させて帰る。
「リーバル様は今ここに生きてらっしゃるのに、どうしてこんなお芝居をしたんですか?」
「まあ君にもいずれわかるようになるよ。いずれね」
 僕がこうして姑息に生きているのは僕自身のためと、君のためで。そのことはいつか君だけが知ってくれればいいんだ。

『きみうつし』幻覚供養⑬構成の全体メモ|に 

◇8話~11話くらい:時過ぎて青年テバと不可思議な同居人リーバル様の話。

髪結いだけでなく、すっかりリーバルの側仕えの役が板についてきた青年テバ
俺らもようやくお役御免だわと肩の荷を下ろすかつての側近たち
ヘアケアから衣装合わせまで上手になったスタイリストテバくん(流行に敏感でリーバル様に似合いそうな服飾を目敏く買ってくる)(髪さえ結ってくれたら良いんだからそんなに要らないんだけどな……と思ってるリーバル)
戦士として褒められる方が嬉しいテバくん(あ、いやリーバル様は別です!)(俺はリーバル様が喜んでくださるのが一番嬉しいです)
飛行訓練場の改築のために、ゴロンシティに鉱石の買い付けに行く。魔物素材と合わせる。
素材集めに魔物と戦いながらリーバルを守るテバ
飛行訓練場の主テバくん
鉱石加工術に興味があるのかい?でゲルドの街へ(昔は絶対行くもんかと思ったけど歳は取ってみると分からないものだね、で女装裏口入場)
待ちぼうけて恋愛教室に巻き込まれてお料理するテバとゲルド族長に引っ張られていくリーバル(説明のため)
俺はリーバル様のお側にいたいんだ、というテバくんの気付き
リーバルが自分を通して誰かを見ていることにもやもやとしていたことも晴れる。

『きみうつし』幻覚供養⑭構成の全体メモ|ほ 

◇12話~15話 テバとテバ、リーバルの迷い
 リーバルのスキンシップが多い。前よりも子供っぽい様子が増えた。
日常のひととき、リーバル様がふいに言葉を止めて、じっと見ていることがある。
それを見て、あ、外したな。と、俺は思う。
 俺はあの人の予想した“俺”の行動を外しちまって、それで、あの人はその差異への期待のような落胆のような綯交ぜにになった感情をひたと隠すために黙り込んでしまう。水面に石を投げ込んだみたいな、一瞬の迷いだ。
 いつからだったろうか。この沈黙が始まったのは。最初からだったのかもしれない。俺が気がついていなかっただけで。
目に見えて多くなってきたのは、俺が弓術大会で優勝した頃からだ。
──あの人は、俺を通して、誰かを見てる。
 そのことを俺自身はどう思うか。
──考えなければ、いずれ俺はあの人のそばにいられなくなるだろう。
 あの人が俺を置いていってしまう前に、何か答えを見つけなきゃだめだ。
 
で、相談する、親友とサキちゃん(仮)に。単純に幼馴染みの友人関係です。
「そりゃもう英傑様のお悩み原因ったら大厄災の頃の知り合いなんじゃない?」てことで聞きに行く。

シーカー研究者orゾーラの里
両方ならゾーラ先。

『きみうつし』幻覚供養⑮構成の全体メモ|へ 

◇最終章~! プルアの謀で原作未来のテバがやくもく世界に再び訪れる話。Tくんの思いとリーバルの覚悟。想いの精算。

◇なんやかやでフラれたまま一緒に過ごしてるリーバルとTくんの元に舞い込むプチ事件。~未来に帰った筈の助っ人組が何故か再び過去に訪れた?!~

 ──テバが知らないところでテバが人を救ったことになっている。
 
 お礼品ばかり貰っても覚えのないTくんがリーバル様に相談する。
「何だか俺のそっくりさんが出回ってるみたいで」
「はあ?何だいそれ。君、いつからチュチュみたいに分裂して増えるようになったの?」
「もう、冗談じゃないんですよ。みんな俺に助けて貰ったって言うんですが、俺はそん時リーバル様ん所に居ましたから、助けた筈無いんです。それなのに、皆は俺だった、って」
 
 その上そいつも自分の名前はテバだって名乗ってるらしい

「……他人の空似ってやつじゃないのか?今の時代なら君の名前もそう珍しいもんじゃないだろ」
「旅人がテバを名乗るリトに助けられたって言うだけなら、その説もありましたけどね。村の奴らまで、俺に助けて貰ったって言うんです。『あの顔と飛び方は間違いなくお前だった』って」

『きみうつし』幻覚供養 テバテバ対面編のネタ 

 眼力自慢のリト達が、人の顔を間違えることはほとんどない筈。

「しかも助けた相手みんなに『迷いの森に迷子のリトの子供がいるから、リトの英傑リーバル様のご助力を頂きたい』って、そんなことを言ってるんだそうですよ。新手の詐欺か、美人局なんでしょうか?」

 本来、アンチエイジでリーバルが余生を若い姿でエンジョイしている事実を知る者は少ない。表向きにはかつての英雄リーバルは死んだことになっている。同族でさえも、テバと側近だった一部のリトを除いて、偉大なる英雄にして敬愛するべき族長リーバルは既に死んだものとして認識しているのだ。
 そこに来て「英傑リーバルの手を借りたい」と言うのは、よほど世間知らずの昔気質な者か、詐欺師の類いだと思われても仕方ないだろう。
 だが「迷いの森の迷子のリト」と聞いて、リーバルの頭にはある荒唐無稽な可能性が閃いた。

「……まさか」
「リーバルさま?出掛けるんですか?俺も一緒に……」
「ちょっと急用ができた。君はここで待ってろ、そうじゃないと話がややこしくなる」
「でも、」
「その迷子のそっくりさんをひっ捕まえてきてあげるから、大人しく留守番してるんだよ。そいつは……たぶん、君が一番会いたがってたやつだ」
「???」

『きみうつし』幻覚供養 テバテバ対面編のネタ② 

◇迷いの森まで限テバを迎えに行くリーバル

「やっぱり、君か」
「リーバル様!」

 記憶よりも少し年老いて、溌剌というよりは矍鑠としたように見える壮年のリト。

「来ていただけて、助かりました。どうも、大厄災の頃とは勝手が違うようで……俺が誰かと間違われてるらしいってことは分かりましたが、下手なことをして村を混乱させるのも悪いと思って……こんな手段を取ったんですが」
「まったく……僕がいなかったらどうするつもりだったんだい」
「リーバル様がいない?どうしてです」
「あ、そうか……君は知らないのか。僕がこの見た目だから分からないかもしれないけど……此方はあれから随分経ったんだ」
「今、此方はいつ頃なんですか?」
「ちょうど100年くらい経った」
「100年?!」

「じゃ、じゃあ此方のリーバル様は幽霊か何かで……?」
「そんなわけあるか!普通に生身だよ!いや普通じゃない手段は使ったけど!」

◇そういうの含めてきちんと説明するから、まずは落ち着いて話ができるところまでいこう。とマイホーム飛行訓練場へ移動

『きみうつし』幻覚供養 テバテバ対面編のネタ③ 

 リーバル様だいじょうぶかなって心配で入り口に立ってるTくん
立派に伝承オタクのやくもくTくんは、自分の名前の由来になった英雄テバにも勿論憧れバリバリマックス

「じゃ、じゃあ!あんたがテバ“様”なのか?!」
「て、てば“様”ァ?!」

◇一通り事情を話して団らん。

「自分とおんなじ顔があるってのも、なかなか不思議な気分だな……」
「僕を見てたときの君にそっくりだぜ、この反応」
「こっ、……ここまで愛想よくはありませんよ俺は……」

「勿論リーバル様がおれの一番の憧れではありますけど、救援者テバ様もまた、俺たちの世界を救ってくれた英雄には違いありませんから!」とにこにこのTくん。

思出話、町案内、別の未来の復興状態と話は尽きない。

「あのっ!お願いがあるんですけど!」

 テバくんミラーマッチ対決でもしてもらうか。

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ④ 

◇原作テバくん交えて語らって、やくもくテバくんに原作テバくんを重ねて強制させてたことを自覚するやくもくリーバル。やっぱり好きだと思ってしまうし、どうしたらいいのか、ぐるぐる分からなくなる。

 話を聞きたがるTくんを何とか自宅へと帰らせてから、原作テバと二人で火を見つめるリーバル。

 意を決して「ねえ、これ。」と髪留めを差し出してみる。

「僕の髪を、結ってみてくれ。」
 
 怪訝そうな顔をするテバ
 沈黙に言い訳をすることもできず、リーバルは静かにもう一度言った。
「僕の髪を、結ってみてくれないか」
 声音が固いのも、緊張に顔が強張っているのも、自分自身で分かっていたが、どうか聞いてくれるなよと胸内に祈っていた。自分らしからぬ、なげやりで行き当たりばったりな行動だ。それでも、そんな祈りがこの男には通じるとリーバルは確信していた。
 テバは、リーバルがこだわる見栄も意地も読まないくせに、人の真剣さだけは決して間違えない。
 そういう男なのだ。

「その紐といつもの髪留めで、お髪を結うんですね?」

 そう言ってテバは、リーバルの手から髪留めと飾り紐を受け取って、鏡台の前に椅子を運んだ。椅子の後ろに立ち、振り向いて依頼人が座するのを待っている。

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑤ 

やはり、理由を聞いてはこなかった。リーバルは自分の懸想ごとが正しかったことに小さく胸が痛んだ。
 そういうところが、この100年、空に想ってやまなかった。あの不器用な愛弟子とはそこだけが反対で、だからこそ似ていると想起せずにはいられない。あの子は、見栄と意地を微笑んで見つめて、 
 ──ちゃんと分かっていたつもりだったのに。
「では、失礼します」
 一声かけて、するりと後ろ髪に指が通される。普段から櫛をかけ香油を塗って手入れしているリーバルの長髪は、リトの大きな翼の手櫛でも難なくまとまり、房に分かれた。
 リーバルのいつもの髪型は、後ろ頭に三つ編みが四つだ。上下左右均等に三つ編みの房ができるよう、髪全体に対して十二分の一の髪束を作る必要がある。
 かたん。テバが一個目の翡翠の髪留めを手に取った。
 形は保っているが、いかにも歪で不慣れな三つ編み。
「む……」
 かたん、と二個目。同じようなゆるけた三つ編みができた
 最初より手付きが鈍っているせいで、端から髪がほつれてゆく。
 三個目。とうとうリーバルは我慢できずに吹き出した。
「ふっ、くくく……ハハハッ! 下っ手くそだなあ、君!」
「わ、分かっていたことでしょう! わざわざ言わんでくださいよ! 」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑥ 

「君は、こういうの不器用だったよなあ。弓の手入れにはあれだけ集中してるのに」
「勝手を知ってる自分のことならまだしも、他人の髪の質やら趣味やらは扱いが難しいですよ。餅は餅屋、髪弄りは床屋の領分でしょう」

 戦士のやることじゃない、とテバはそっぽを向いて開き直っている。

「そのわりに、こまこまと僕の世話を焼きたがるもんだから、僕の方も断るのも悪くってちょっと困ってたんだよ」
「そッ、それは申し訳ない。というか、言ってくださいよ?!」
「だって、僕のために、って自分の息子にも負けないキラキラした目で張り切っているんだよ?止めようにも気が咎めるってものだろ」
「本当に、その時に言ってほしかったですよ、そういうのは……」
「今ちゃんと言ったから良いだろ」

 あの頃は余裕ぶった大人のようだったテバのことを散々からかえるのが嬉しいリーバル。

「ほらほら、手が止まってるよ。早く残りも結ってくれなきゃ」
「くっ、後でこれで出かけるなんて仰らないでくださいよ……?」
「言わないったら。僕は人前に出る格好はきちんと選ぶもの」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑦ 

原作テバくん「俺は、昔ッから髪を結うのなんて下手くそでしたよ。妻にも親友にも、結ってもらう側でした」

 同じだなあ、と思う。
 そして、やっぱり違うなあ、とも思う。
 リーバルは、この男と共に生きて、そして死んでみたかったのだ。命尽きるその時を看取って、あるいは看取られてみたかった。 
 ──でも今の僕は、それだけじゃいられない……。
 まだ、間に合うだろうか。
 僕は、あの子に報いてやれるだろうか。
 こんなことを聞くのにはぴったりの人員がいる。
 ──かたん。四個目の翡翠飾りがテバの手に消え、そしてリーバルの後頭部にようやく慣れ親しんだ結い髪の重さが一つ感じられた。
「できましたよ。……どこか引っ張られて痛いとか、ないですか?」
「それは大丈夫。でも面白いから記念にウツシエでも撮ろうかな」
「もう好きにしてください……」
「なあ、テバ」
「何ですか、出来の文句は受け付けませんよ。そんなのは最初からご承知でしょう」
 ああ珍しい。拗ねている。これは、100年前にも見たことのなかった顔だ。
「分かってるよ。……ちょっと相談したいだけさ」 
 こんな風にテバを頼ることも、100年前のリーバルならばしなかっただろう。お互い様だ。

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑧ 

「どうしたらいいと思う?」

 尋ねる若者に、年嵩の戦士はうーんと一伸びして、言った。

「言い訳のコツは。──とにかくカッコつけてやることです」

 そして続く言葉に、はたと目を丸くすることになった。

「リーバル様が相手ですからね、“俺”ならきっと、それだけで機嫌が取れますよ」

 一瞬、言葉を失う。まさか。

「──何だい。知ってたのか?」
「フ、何のことやら?」
「そういうの、君は本当に可愛くないよな……」

 しらばっくれるテバに、リーバルはむくれた。それを見てテバが笑う。

「ふふ、ハッハッハ!」

 この豪快な笑い方も久しぶりに聞いた。テバはこんな笑い方をする奴だった。リーバルのそばで髪を結ってくれていたあの子供は、この男よりもずいぶん丁寧で行儀の良い笑い方をする。そんなにも記憶と違っていることに、今まで気付かなかった自分が、信じられなかった。

 ──いや、気付いていたけれど、気付かないフリをしてたのか。 

「“そういうの”は、あっちのお弟子の役回りでしょう。──強い戦士です、まったく」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑨ 

「俺もあれから鍛練はかかしてないし、強くなったつもりだったんですが、自信がなくなっちまいますよ。やっぱり若さには勝てねえかなあ」

 あーあ、とため息をついてテバが脱力して隣に座り込む。

「チューリにも、とうとう負け越すようになりましたし」
 
 チューリ。未来に生きる彼の息子だ。大厄災でリーバルら英傑の窮地に馳せ参じた|救援者《テ バ》たちとは別に、いつからか未来から迷い込んできていた小さな男の子だった。
 魔物だらけの戦場でちらとも怖がる素振りを見せなかった勇気ある少年の姿を思い出して、リーバルは目を細める。

「あの子、幾つになった」
「成人してから、もう七年になりますかね。今じゃ飛行訓練場の主が入れ替わるくらいになってます」
「もうすっかり大人か。それだけ大きくなれば、“チューリトルネード”も立派に使えるようになったのかな」

 にやりとテバが笑みを深めた。

「今は、その技名を出すと機嫌が悪くなるんですよ。あいつ」
「えーっ?……お年頃かな……」
「俺ァ シンプルで良いと思うんですが」
「君にそう言われると僕も自信が無くなってきたなァ」
「ちょっ、何故です?!」
「冗談だよ」
「リーバル様のご冗談は冗談に聞こえないんですよ!」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑩ 

「弓の腕はどうなんだい?そっちの才は僕も見てないからどんなもんだか気になるな」
 テバが言うには、ハイリアの英傑の末裔が指導を助けてくれたのだという。奇しくもその末裔も名を“リンク”といい、この時代の姫付きの騎士と同じように武芸百般に秀でた傑物らしく。弓の腕とここぞという勝負っ気強さはリトの戦士であるテバすらも舌を巻くそうだ。
「手本がリーバル様とリンクですからね、構えがしっかりしています。狙いを定めるコツを覚えたようで、精度では俺も勝てない。弓で俺の記録が塗り替えられてないのは、貫通の百枚通しくらいで」 
「君の矢は精度を抜きにすれば威力が凄まじいからな……」

「俺よりも、あのお弟子よりも──リーバル様よりも。チューリは、強くなりますよ」 
「へえ……言うじゃないか。宣戦布告かい?」
「さあ。親の贔屓目を抜きにしても、あいつには天分と才が味方しています。優れた師と、整った環境と、どんな訓練よりも得難い経験と。どれほど努力を重ねても、それのみではたどり着けない領域を突破する力がね」
 意外な台詞に思われた。我が子を誇るだけでない、ほろ苦い情感の籠もった言葉はテバに似つかわしくないナイーブさを持っていた。
 その視線に気づいたのか、テバは苦笑した。

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑪ 

 「羨ましくない、と言ったら嘘になりますよ。俺は、そこまでのものは天から授かってない。……もちろん、こうして過去の英傑様と対面できる奇跡にあずかってる俺自身も、他の戦士から見れば十分に羨まれる立場だろうとは分かっていますがね」

「それでも、俺はチューリほど機に巡りあった戦士ではないでしょう。
……リーバル様やリンクのような傑物たる戦士を手本と見覚えて成長するチューリも、リーバル様直々の教えを請うことのできる此方の俺も。いやさ、あなたと同じ時を生きていくリトの全部が、羨ましいったらねえや」

 英傑様に師事して、同じ空の上で飛び続けられるなんて、戦士の夢だ。

「チューリは、あなたに似てきましたよ。顔形ってんじゃない、凛とまとった誇り高さの気迫がです。リーバル様に会ってからぐんぐん育っていくチューリの成長を見て……俺は、ようやく腑に落ちました。“空の支配者”、そう真実に名乗るリトというのは、こういうものなんだろう、って。理屈じゃない。そこに何か人の目には映らない天分の違いがあるんだと、ハッキリ感じた」
「そんなこと……」
「ありますよ。俺がどれほど英傑リーバル様のことを思って、見て覚えんとしてきたか、あなただってご存知のはずだ」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑫ 

 リーバルは言葉につまった。明け透けな言い方に戸惑ったのだ。こういうところだ、この男の油断ならない純粋さは。

「俺はどうして、もう少しだけ機を計って生まれて来なかったのかと、此方の世界に居る間中ずっとそればかり思い悩んでました」
「……そんなこと、全然気づかなかったよ」
「言ったこと無いですからね」

 テバはからりと笑った。過去にじっとりと思い悩んだことはもう年月が風化させてすっかり乾いてしまったかのような軽さの声音だった。

「だが、今の俺は、あなたの作ってくれた戦士の夢と、リトの誇りとが続いていくならそれでいいとも思います。俺が、その内の一つの滑車になれたんなら万歳、おまけにリーバルさま本人と競い共に戦う僥倖にまで巡りあえて万々歳だ」

「君ってさあ……欲が無いよね」
「そんなふうに評するのは、リーバル様だけですよ。俺は昔ッから傲慢で、とびきりの強突張りだと親友も妻も言って呆れてる。もう最近では言っても無駄だと諦められるくらいだ」

「俺みたいなのが、あなたに向けてる|欲《憧れ》の強さを軽く見すぎです。」
「そうかな」
「そうです」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑬ 

「チューリは……あいつは、本当に良い戦士になってくれました。俺が期待していたよりもずっと」

 遠く星々を夢見るようにテバは言った。 

「俺はね。チューリ自身が夢見るよりも先に、チューリが俺と同じように、リトの英傑の勇敢さに憧れて同じ夢を追う同志になってくれはしないかとひそかに思っていたんです」

 誇り高きリトの戦士が憧れ追い続ける、その決して楽ではない道行きにそれでも追い求めずにはいられない青い理想があるのだと、誰か、同じ空を飛んでいる存在がほしかった。

「意外だな」
「俺にもこんな繊細さがあることがですか?」
「いいや。君がそんなに打ち明け話を、よりにもよって僕にするなんてことがさ」
 ふっと虚を突かれたようにテバが黙った。と思ったらすぐに笑い出す。
「ふ、はッははは!たしかに、そうだ。最後だと思ったら、気が弛んじまった」
 最後。きっと聞き間違いではない。けれどリーバルはその場に広がるくだけた雰囲気のままに、それを言及するのをやめた。
「君は、僕以上に、僕の前ではカッコつけるからなあ」
「ああ、本当に」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑭ 

「ああ、恥ずかしい。あんまり恥ずかしいんで、もう次にリーバル様に合わせる顔がありません」
「僕は、君のそういう弱みをもっと知りたかったけどね」
「ご勘弁を。俺にも意地を張らせてくださらなきゃあ、寄る年波にますます立つ瀬がありません」
「まったく、心にも無いこと言って!」
「ははは!」

「明日の朝かい?」唐突にリーバルが尋ねる。
「いえ、夜の内に発ちます。人目の無い時間に動く方が騒ぎにならなくって済むでしょう」テバは動じずに答えた。
「ふ、君は夜を一人で飛んでいく戦士だったね、あのときもそうだった」
「もともと、一人で飛んでいくのには慣れていますから。……あ」
「なに?」
「いえ……いつもこういう素直じゃない“意地”を張りっぱなしだから、運命とやらも、俺に振り向いてくれるまで時間がかかっちまったのかもなあ、と」
「フハッ!きみっ……君、僕の前でそういうこと言う?」
「そんなにおかしい考えですかね?」
「くくっ……だとしたら、君の敗因は、意地に振り切れなかったことだね。僕みたいになるには、見栄の張り方が甘いんだよ。もっと自分を騙しきるくらい、カッコつけなきゃあダメだ」
「なるほど……」
「ま、僕は好きだぜ、そういうのもさ。それでいいじゃないか」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑮ 

「──じゃ、これで本当にさよならだね」

 テバは頷いた。リーバルは静かに瞬いた。

「君は、強く誇り高いリトの戦士だ。僕は心からそう思っている。僕の窮地に駆けつけてくれたのが、君のような……いや。君が、来てくれたことが、嬉しかった。──あのときは言えなかったからね。」 
「はは!英傑様からお墨付き頂くとは、やっぱり俺は果報者です。そのお言葉に恥じないよう、せいぜい死ぬまで飛び果てますよ!」

 ──この男は、別れの時もこんな風にからりと笑っているんだな。

 きっとあのときもそうだったのだろう。今度は顔を逸らさずに、真っ直ぐ伝えることができた。それで、十分だ。
 ひらりと夜風に乗って遠退く白い翼を見送って、リーバルは静かに空を見上げた。
 今晩の夜空は、きっと記憶に残る一番に輝かしい星空だろうから。

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑯ 

「ええ?!テバ様、帰っちまったんですか!」

 がっかりとした声がへブラの朝焼けに響く。

「お別れも何にも言わずに。まだまだ聞きたいことが山ほどあったのに……」
「もともと交わる筈のない世界の話だ、諦めなよ。それに、厄災戦争の時のことなら、僕が話してあげる。英傑のことも、姫や退魔の剣の騎士のことも、テラコのことも、あっちのテバのことだってね」

 てっきり喜ぶと思っていたのだが、予想に反してテバは黙り込んでしまった。

「リーバル様こそ……どうかなさったんですか?」
「何が?」
「だって、今までは、村の子供にねだられたってのらりくらりとご自分のことはお話にならなかったじゃないですか」

 言葉につまる。自覚がなかったのだ。
 
「……テバ様ですね?」
「へっ?」
「あなたがそんな風にゆらゆら心がどっかに向いちまうのは、あの人に関わることに決まってます」 
「……そうなのか?」
「そうですよ!」

 リーバル様が望むならふんじばってでもテバ様にここに居て貰えば良かった……と思うテバくん。

「ちがうちがう!こら!人の話を聞かずに飛び出すのは君の悪い癖だぞ!」
「す、すいません……」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑰ 

 リーバル様が望むならふんじばってでもテバ様にここに居て貰えば良かった……と思うテバくん。

「やめなさい。彼にも彼の家族や友人があるんだぞ。それに、いつまでも同じ顔が二つ並んでたら、僕だって飽き飽きする。」

 同じ顔、というところで、テバがびくりと震える。

 ──やれやれ。僕も甘やかしてきたツケを払わないとな……。

 テバ、と呼び掛けて顔を上げさせる。不安そうな金の瞳が揺れている。

「これ。」

テバくんに貰った新しい翡翠の髪留めと入れ換えた自分のお古を渡す。

「くれるんですか?」

 答えずにリーバルは鏡台の前の椅子を指し示す。

「で、座って。」

 困惑しながらも大人しく従うテバ。
 ぱち、ぱち、と髪が下ろされて、ようやくテバはいつも自分のやっている仕事がやり返されていることに気がつく。

 リーバルは黙ったまま、テバの髪留めを勝手に代える。
 テバは、鏡の中の自分とリーバルを見つめる
 沈黙。
 鏡越しに、翡翠の視線と交わる。

 (あ……)

「──少し昔話をしようか。」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑱ 

大厄災で戦った英雄として……、僕はさ、赤子の名付けをしてくれって頼まれることが多かったんだ。昔はね。
名付けじゃなくって、そのまま名前をくれって言われることもあった。今じゃ伝説の英雄にあやかって、テバやリーバルの名を持ったリトも少なくない。
でもね、僕は絶対に赤子にテバの名前をつけてやることはしなかったよ。
僕にとっては、大事な名前だったから。軽々に他人に託したくはなかった。

「──あの頃の僕は、まだあの人以外のことをテバと呼びたくなかったんだ。我ながら子供っぽいことをしたと思うよ」
「じゃあどうして……」

「……いえ、やっぱりやめときます」
「どうして、君を弟子に取ったか、って?」
「……俺が、テバ様に似ているから、ですか」
「似ているというより、君がテバだから、かなあ」

「伝説に出てくる疾き救援者テバは……実は僕たちの大厄災の頃から100年先の未来を生きている戦士だったんだ」
「100年?それって……」
「そう、ちょうど今頃だよ。このタイミングにつがいを持っていてもおかしくない年頃になる世代リトの子の中に、“テバはいる”。いや……そのように“テバは生まれてくる”はずなんだ。僕は、それを待ってた」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑲ 

「それが、俺、なんですか」
「僕は、そう思った。だから君と会った日にアンチエイジを利用することを決めたし、君の近くにいられるように色々と手を打った。それで、その直感は間違ってなかったんだろうと思うよ。君だって自覚はあるだろ、テバ本人とも会ったんだから」

「聞いてもいいんですか。」
「もちろん。君にはその権利がある。」

「俺は、テバ様の代わりですか?
もちろん、それだって構わないんです、俺は。俺は俺で、リーバル様のお側にいさせていただければ、それでいいんですから。ただ、聞きたいだけで、それでっ……」
「テバ。」

 名前の一声で、テバは息を詰めるように口をつぐんだ。まるで出会ったときのように、何か失敗をしてばつの悪そうな顔だ。

「僕が……テバが生まれてくるのを待とうと決めたのは、ずいぶん若い頃だった。それこそ今の君よりもずっと。そのときは……うん、たぶんそんな風に考えていたかな。もう一人のテバとなら……僕は、今度こそ一緒にいられるんじゃないかって」

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『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ⑳ 

僕はね、テバ。君がどんな風だって、君をテバと呼ぶよ。大厄災の決着がついてからも君だけを、きっとこの先も、君だけだ。

僕にとって君は、きみである以外の何者でもない。
たとえ同じ音を声にのせていても。同じ姿に懐かしさを覚えていても。
けして、きみと彼を同じに思ってるじゃないんだ。それはどちらにも礼を欠く。

だけど同時に僕は欲張りだから、どちらも大事にしたいんだ。かわいい僕の弟子。

「──昨日の模擬戦で、君は、彼の姿を捉えきれなかっただろう」
「……はい。防戦に手一杯で、風を読んでもどこから矢が飛んできているのかほとんど分かりませんでした。」
「彼の矢はね、実は相手を狙っていないんだ。だから避けるのが上手いやつほど当たる。なぜって、彼の弓矢は端からコントロールが杜撰だから」
「え?!」
「こら、動くなよ。髪を引っこ抜いちゃうだろ」
「あ、すみません。」

「お利口さんな君と違って、彼は結構あくどい手を使うからな。弓矢の甘さに気がいかないように、フェイクの気流をつくっておいて撹乱してたのさ。姿が見えないからって、風を追っかけている内は全然捕まえられない──」

 リーバルがくすりと笑う。あ、外したな。とテバは思う。おれは、また──

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ21 

「でもね、彼は君ほど人の髪を結うのは上手じゃなかったぞ。無神経で、僕のカッコつけは台無しにするし。仲間のためって考えると僕に相談もなしに戦場に突っ込んでいって無茶をするし」
「え、」

「だから──だから、僕の髪を結ってくれるのは、君じゃなきゃ嫌だよ」
 
「それは……とても、大変なお役目です」
「こんな爺に付き合わされるのは君こそ嫌じゃないか?」
「いいえ、そんなことあるもんですか」

 ありがとう、とリーバルは言って朗らかに笑った。テバはずっとこの笑顔を見てきた。朝の身支度を手伝い終えた時、リーバルはいつものシニカルな笑い方ではなく、屈託なく笑ってテバの頭を撫でた。それは、子どもの頃からずっと変わっていない。
 
「さあ、できた。リトいちの男前の完成だ。」
「リトいちの男前……」
「なあに、リトいちじゃ不満かい?さすがにハイラルいちと言うにはライバルが多くって、知り合いにどやされそうなんだけれど」
「だって、リトいちの男前は、やっぱりリーバル様でしょう。」
「……へえ。」
「あ、今、俺のことをガキだと思いましたね!」
「いや、そんなことないよ。ちょっと予想してない返しだったから。驚いただけ。」
「……本当ですか?」
「本当だって」

『きみうつし』幻覚供養 『精算』テバテバ対面編のネタ22 終わり! 

「じゃあ、リーバル様がハイラルいちってことにします。」
「それは髪結い役の腕次第ってことかな?」
「もちろんです!絶対にカッコよくしてみせますよ!」

 こちらを試すような目配せに、勢いづいて頷いて見せる。少し間があって、どちらともなく吹き出すように笑いがこぼれた。

「なあ、テバ。僕の髪、結ってくれるかい。」
「はい。リーバル様。」

 明日も、明後日も、その先も。きっと自分かこの男かがいなくなるその日まで、リーバルはテバとこのやりとりを繰り返すだろう。
 君に救われた僕と、僕を追いかけていた君。
 君の髪留めを取った僕と、僕の髪を結う君。
 あの日を戦ったリトの戦士は、たとえそこに自分の姿が残らないのだとしても、かつて思いを寄せたのとは違う結末を手に入れるために、人ならざる時を越えるのだから。

おわれ!(祈り)

原作テバくんは英傑リーバルと同じ存在なので近い。自己愛みたいなもんだよ
理解するというフェーズを挟まなくってもいいくらい、必要がないくらい同じ、という。

やくもくテバくんは英傑リーバルのために生きている存在なので近い
やくもくリーバルを一番理解してる。
望むことも望まれることも。

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