岡林信康さんのライブを観た。吉祥寺Star Pine's Cafeは2階席まで満席で、ステージ上にはフォークの神様が実体となって降臨している。なんせ神である。荒川区のローカルヒーローなどからすればアスガルドの民のようなものだが、何を隠そう死んだ親父の旧友で、その親交は40年続いたというからスケール感が違う。岡林さんの新作「復活の朝」に「冬色の調べ」という曲がある。旧友の訃報を受け取った当時の気持ちについてを歌った歌だ。この曲の演奏が始まると、冷酷無比と言われた流石の私もさめざめと泣いたが神も恐らく泣いていた。終演後にご挨拶をさせてもらったが、そこでも私はぼろぼろと泣いてしまい「ヒーローと言えどやはりひとりの弱い人間なのだな」とその場に居合わせた全員が思ったと言う。考えてみれば親父が死んだ直後は目の回る忙しさで、悲しみそびれたまま2年が経った感もあり「あんたもがんばりや」と神に肩をポンと叩かれれば感情が制御不能になるのも無理からぬ事である。76歳になってもhonninmanが出来たらいいなとは思うが、ヒーローは次々と襲名していくものでもあり、神とはまた違った道を粛々とやっていくしかない。