暴力と破滅の運び手セレクション『ケモのアンソロジー』感想
暴力と破滅の運び手「月のこどもたち」
人狼!困難にぶつかりながらも最後はハッピーエンドで嬉しい(私にはハッピーエンドに見えました)、いま必要とされている物語だなと感じたし、一方で人狼たちが狩りをするシーンの映像的な美しさが圧倒的で、ほんとすごい……。公的サービスに目をつけられているのも運び手さんならではだなと思ったし、ディテールも細かくて面白かったです
千葉集「熊と魔法の王国」
ちょっとあまりにも良すぎて本から顔をあげる瞬間が何回かあった……もうこれを正史にしませんか(ダメだよ)。ケモのアンソロジーですよね?全く予想していなかった方向から殴られてしまった。年間ベストに入るかもしれません。
稲田一声「ニューサウスウェールズの怒れるネズミ」
ウォルトが抜けきらずもしかして今度はミッキーなのか?と思ったらまた違った最高のネズミが登場して最高になってしまいました……
良い奴すぎるだろ…幸せに暮らしてくれ……怒ってたのは俺だった、のシーンが圧巻。そして普通に生きてるの嬉しい。そしてネズミの声がありありと想像できて、本当にいきいきしていてよかった……
暴力と破滅の運び手セレクション『ケモのアンソロジー』感想
春眠蛙「けもののはなし」
え、こんなことができるんだ!すご!語りがめちゃくちゃ面白いし、エピソードが全部完成度高すぎて興奮した
なんだこの狸に化かされたような読後感は
あと普通に勉強になってしまった……前半パートは「へー」と感心しながら読んだし、これを踏まえて後半を読んでほしいという筆者の姿勢がかなりいいなと思いました
以上です
全編通じてハッピーエンドが多かったのは特徴的だったなと思いました
非常に良いアンソロジーだったと思うし、読み終わってから表紙みたらまた、描かれたケモたちに親しみが湧いて嬉しくなっちゃいました