埋没した世界 トランスジェンダーふたりの往復書簡
トランスジェンダーである著者二人が性別移行を経験して男と女の社会的に置かれている立場や状況の違いの言語化が秀逸だった。
個人的には、的確かつどこか俯瞰的に見ている感じでの言語化はこの二人が単にトランスジェンダーだというだけではなく、五月氏は現在女性として生きてはいるものの実際にはノンバイナリーであること、周司氏は現在男性として生きているけれど明確な性同一性は持たないことや、二人とも性別二元論や異性愛者至上主義、モノガミー至上主義により苦しい思いをして、それらを小馬鹿にしていることからきたように思えた。