ハンチバック
社会的に性とは結び付けられにくい清い存在として見られがちな障害者女性である(そして実際清い人生を送っている)主人公のゲスいとも言える性への執着心が、「生きづらい世の中になった」と嘆くヤフコメ民や文化人、スポーツ界をマッチョだと毛嫌いしながらもそんなスポーツ界よりも遥かにマチズモの象徴である紙の本に執着する読書文化といった社会全体を薄ら小馬鹿にしているようで小気味よかった。
その中でも中絶への強い羨望が印象的だった。単に中絶を巡って衝突していた女性団体と障害者団体の両団体や古くなっても変わらず美しいままのモナリザのような存在への当てつけというだけでなく社会全体への抵抗のように私には思えた。