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最近読んで印象に残った歌 

『短歌タイムカプセル』カ~タ行の歌人より

◆香川ヒサ
人あまた乗り合ふ夕べのエレヴェーター升目の中の鬱の字ほどに
一冊の未だ書かれざる本のためかくもあまたの書物はあめり
尖塔の建てられてよりこの街の空は果てなき広さとなりぬ
朝光の差し入る部屋にあらはるるみな光より遅れて在るもの
◆木下龍也
B型の不足を叫ぶ青年が血のいれものとして僕を見る
◆小池純代
手のなかに鳩をつつみてはなちやるたのしさ春夜投函にゆく
◆小池光
かゆいとこありまひぇんか、といひながら猫の頭を撫でてをりたり
◆小島なお
椿の葉陽を照りかえし照りかえしあまりに遠し死ぬということ
◆笹原玉子
とびきりの恋愛詩集一冊で世界史の学習は終った
その踝から濡れてゆけ 一行の詩歌のために現し世はある
◆竹山宏
一分の黙祷はまことに一分かよしなきことを深くうたがふ
◆俵万智
男ではなく大人の返事する君にチョコレート革命起こす
たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから
みかん一つに言葉こんなにあふれおり かわ・たね・あまい・しる・いいにおい

香川ヒサさんの歌がとくに印象に残った。機知に富んでいる感じというか、世界を眺める視点がおもしろい。

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