ベンヤミン研究の本を読みはじめたらベンヤミンの文章が読みたくなり、そしてちょうど半端な時間ができたので「複製技術時代の芸術作品」(ちくまコレクション版)を読んでみたら、とてもおもしろくて良かった。数年前にも読んだのだけど、何も覚えていなかったので、こんな印象に残るようなことを言っていたっけという感じ。

しかし今日中には読み終わらなかった。明日にはきっと今日読んだ内容すっかり忘れてる。

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特に印象に残ったテーゼVIII。 

芸術の複製技術水準が著しく低かった古代ギリシアでは、一回的な芸術作品に永遠性という芸術的価値を付与した。複製技術が高度に発達した今日では、何から何まで複製技術によって作られる芸術として映画が生まれた。
映画とギリシア芸術を比較してみると、「映画とともに、芸術作品にとってあらゆる性質が決定的なものとなったのだが、この性質は、ギリシア人ならばおそらく芸術作品に最も認めがたい性質、あるいは芸術作品の最も非本質的な性質と見なしたであろうものである。その性質とはつまり、より良く作り直される可能性である。完成した映画というのは、一息に創造されたものではまったくない。・・・映画は、より良く作り直される可能性に最も富んだ芸術作品である。そして映画のもつこの改良可能性は、映画が永遠性の価値を徹底して放棄したことと関連している。それは反対の例を見ればわかる。ギリシア人の芸術は、永遠性の価値を作り出すことに頼らざるをえなかったので、彼らにとってあらゆる芸術の頂点に立つものは、改良可能性の最も少ない芸術、すなわち彫刻であった」

言い回しがかっこいい。

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