読了。
「おわりに」に村瀬さんがこのように述べています。
しかし日本社会のように、恥や世間体といった、はっきりとした定義がないまま多くの人がなんとなく 共有している意識や、空気のように漂っている価値観は、はっきり否定することも打倒することもなかなかむずかしい。そうして温存され、世代を越えて親から子、そのまた子へと受け継がれたがために、いまなお日本社会はその空気(恥の感覚)に包まれているように感じます。
この意識を変えることこそ、性教育の重要な役割なのだと思います。『国際セクシュア リティ教育ガイダンス」キーコンセプト7 「セクシュアリティと性的行動」に収められた、 5~8歳の学習目標について先述しましたが、これは15~18歳になると「セクシュアリティは複雑なもので、一生を通して発達する生物学的、社会的、心理的、精神的、倫理的、文化的な側面を含む」とされています。人の性には生殖以外の側面がこんなにもあること、性が人の自然な一部であり、「ウェルビーイング(幸福)を高めるもの」であることを、 日本社会は、 そして私たちはもっと深く知らなければなりません。そうでなければ、この恥の感覚が薄れることはないでしょう。(p193)
ここにつきるなあ。