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いま住んでいる家の中ではあるが引越しが迫っている。家族と部屋を交換するのだ。
少しずつ準備を進めなければならないとわかってはいるものの、手をつける気になれない。何から手をつけたらいいのかもわからない。

まずは不用品を処分するところからだが、それをやる心理的なハードルが異常に高い。必要なものと不必要なものを分けることができない。できない、というか、したくない(「できない」と「したくない」はイコールだよねと常々思う)。

たとえば何年も着ていない服、読み返していない本、むしろ開いたことがない本、買って満足して未開封のCD、持て余しているライヴのグッズ、ツアーパンフ……
何もかも必要ない。本棚の最上段に恭しく飾ってある、某ミュージシャンのサイン入りのポストカードですら、必要か? と訊ねられたら即答できない。もう要らないのだ。要らなくなってしまった。

たぶん、この部屋にあるもののほとんどはいまの私には「要らない」もので、空っぽにしても私はさほど困らないだろう。
それをみとめるのが怖い。過去に夢中で集めて「墓場まで持っていく」と思っていたものたちを、いまの私は捨ててしまえる、その事実に向き合うことが怖い。

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