ほんといい本なのでいつも何度でもおすすめします。
「本書の中には明記されていないが、私は、そうした状況への私なりの対応として、いつの頃からか一つの原則を立てていた。それは、「ファシズム」概念を現代史の分析や教科書の記述の中から追放しようとする動きには徹底してあらがうこと、しかし、いわゆる現状分析の一環としては、「ファシズム」概念はできるだけ使用しないようにすること、つまり、相手に対する批判と告発の中で「ファシズム」や「ファシスト」というレッテル貼りを行いたくなったときには、その言葉で言おうとした内容そのものをできるだけパラフレーズして表現すること、というのが、その原則である。」
山口定『ファシズム』(岩波現代文庫版、2006年)「新版への序言」vi頁)