『ランガスタラム』クマールお兄ちゃんへの巨大感情
貧しい村から出稼ぎに行く者は多い。しかし、農村出身で低カーストの青年が海外で成功することは、ほとんど奇跡である。
幼少期から優秀だった息子に両親は口を揃えて「勉強だけすればいい」と言ったが、彼はただ微笑んで、何かにつけ問題を起こしがちな弟の世話を焼き、幼い妹に勉強を教え、困っている人を見れば助けようとしただろう。
血のにじむ努力で進学した先は、学生のほとんどが高カーストだ。穏やかな物腰の奥に情熱をたぎらせ、繰り返される不当な扱いにも屈しなかった。そして、かけがえのない女性に出会う。
聡明な二人の若者は、自分たちの愛がいつか命がけの愛になることを知っていた。だから遠くへ逃げて一緒に暮らそうと誓う夜があった。
そんな決意の時ですら、クマールは勇敢というよりも優しい表情を浮かべていたに違いない。
でも、本当にそんなことができただろうか?
村の人々を残して、愛する家族を残して去るなんてことが。残された家族にどんな運命が待ち受けているか、知らないはずもないのに。
村の現実から逃げるのではなく、村の現実を変える道を選ぶのは、彼にとって必然だった。それが一見、愛する人への裏切りに見えたとしても。
眩しいほどに愛と知性を湛えた青年。その先に勝利がないことが、ただ悲しい。
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