価電子結合(VB)理論に対する分子軌道(MO)理論の優位性を説明するための例として「O2の常磁性」を挙げて解説されていることが多いけど、これ明確に誤りだと思うんよな。
酸素分子の常磁性を説明に必要なのは「反結合性軌道の存在」「結合 × 2 + 反結合 × 1が結合 × 2 + 非結合よりもエネルギー的に有利」であることだけで、これはVB理論の枠内で取り扱えるし、MO理論で扱いやすくなるわけでもない。
まぁ有名な教科書(シュライバー・アトキンスとか)がVB理論とMO理論を比較したあとでMO理論の文脈でO2の常磁性を説明するからだと思うんだが、教科書では明言を避けてたりするんよな。そこを分かりやすく補完しようとした結果かな、と。
結局突き詰めれば究極的にはVBもMOも同じ結果を与える訳で、「VBに対してMOが優れている点は何ですか?」に対する答えって「計算機で素直に取り扱いやすかった」以上のものはあるんだろうか。
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