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売上がやばいので助けてください!と各種SNSで投稿したいのはやまやまだが(そのような投稿をする本屋がいくつか見られる最近だが)、そうして助けを求めたところで手に入るのは一時的な売上増加であり、その分の皺寄せは時間差でやってくるし、あるいは他店の売上を奪っているだけであり、とにかく根本的な解決にはならない。しかしそれでも叫ばなくてはならない苦しみがあり、誰もが得る権利のある(たとえ束の間のものだとしても)援助があり、それらを邪魔することは誰にもできない。しかしそれでも嫉妬のような感情は生じてしまう。パイを奪い合うことが前提となり、その奪い合いの技術の質を評価軸にされる社会においては、我々は常にいきぐるしい。救いを求める弱者の声が、ズルいものとして聞こえてきてしまう社会。ズルさでもって出し抜く者が、強者としてロールモデルにされる社会。

いわゆる「買って応援」系のあれこれは、言い換えれば「無理して買ってもらう/買わせる」であって、購入する側にそのような意識がないにしても、実際のところ「無理」は生じている。ゆえにそのようなあり方を続けていればいつか皺寄せはやってくるし、金属疲労的な感じでぽっきり折れることもある。となると理想は「無理をしないで買える」環境を整えることであり、そのような環境にはいわゆる「エモさ」のようなものはなくてもいいものになる。必需品を買うときのような無感動さ、あるいは金に余裕があるからこその無鉄砲さが、確保されている環境(当然そこにも無感動さ、ないしは感度の鈍さが付随する)。本を愛する者たちはそのようなありかたを拒否するだろう。しかしそうならなければ、この業界は苦しいままだ。そしてそうならなければ、この社会も苦しいままである。

私の本屋としてのありかたを「もっと現実見なよ(=経営のこと考えなよ)。ま、若いから仕方ないか」というような感じで腐している(無自覚かもしれんが)大人たちはたくさんいたが、私からすれば「本が好き!」だけを頼りにどうにかしようとしている/できると思っているあなたたちのほうが現実逃避をしているように思えていたのだけど、この期に及んでもまだ本屋の閉店などなどに対して「かなしい、さみしい」「もっと買い支えねば」「本(屋)の魅力を高めねば」としか言わないのだろうか。

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