最近文庫化された恩師の本を読んでいる途中だけど、やはり面白いのと、20年以上前に刊行されたこれをいま文庫化しようとした講談社学術文庫の編集者も評価されるべきだと思う。ドラキュラ読んでなくてもそれなりに理解できるのでぜひ。私がその未読者です。

丹治愛『ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝』

bookclub.kodansha.co.jp/produc

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19世紀後半のイギリスではコレラが外国から侵入することへの恐怖が凄かったらしいが、そもそもイギリスにはコレラ以外の伝染病が蔓延した歴史があり、あるいは同時期にも蔓延しており、にもかかわらずコレラが異様に敵視された、その理由はユダヤ人や、コレラ発祥の地とされるアジアへの嫌悪/恐怖によるものだった、的なことがこの本には書かれているんだけど、コロナはもちろんのこと、いまはトコジラミなんかも同様の流れになるんだろうな、という感じ。あらゆる危険は常に外国からもたらされる、という幻想。あるいは都合のよい言説。

fedibird.com/@gucchi_penguin/1 最近文庫化された恩師の本を読んでいる途中だけど、やはり面白いのと、20年以上前に刊行されたこれをいま文庫化しようとした講談社学術文庫の編集者も評価されるべきだと思う。ドラキュラ読んでなくてもそれなりに理解できるのでぜひ。私がその未読者です。

丹治愛『ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝』

bookclub.kodansha.co.jp/produc [参照]

ポイントは、この外国恐怖症的な感覚や態度は意識的なヘイターのみならず、誰の中にもあるということ。

しかしこの『ドラキュラ・シンドローム』の中で引用されている19世紀末あたりのイギリスの本やら論文やら、だいたいウィルやハナダみたいなこと言っててすごいですよ。これが当時の「知識人」の常識だったのか、なんだかんだでヘイター的な者のヤバ投稿だったのかは私にはわからんけど、いずれにせよそういう空気が社会にはあり、その空気をみなが吸っていたということには変わりがない。『ドラキュラ』の著者ブラム・ストーカーの思想や立ち位置も断定はできないが、物語は常に社会の空気を反映させた「テクスト」となっているわけで、文学研究の重要さもあらためて感じる。

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