貨幣は、協働であった労働を分業として個人のものとして所有・保存し交換できるものにしてくれる。農耕牧畜から始まった言葉の新しい使い方と貨幣こそが現代人の心を作りだし、症状としての「病」を生み出してきたものだ。さて、それではそのようなものとして貨幣をなくすることはできるのだろうか。 x.com/berayung/statu…
「ロシア革命以降のあらゆる革命は貨幣廃棄をめざしていたはずだが、破棄の可能性の条件いかんに関する問いをマルクスのようにつきつめることはしなかったし、そしてついにはその重要な問いを忘れてしまった。革命を経たはずのいわゆる「社会主義社会」なるもののなかには、現実に、貨幣は破棄されるどころか、頑固に存続しているし、それどころか資本も商品も存続している。カンボジアの貨幣廃棄の実験は、無残なまでの大量虐殺を引きおこしてしまった。貨幣形式への無知をあまくみるとこうなる。貨幣形式は暴力の痕跡である。(今村仁司『貨幣とはなんだろうか』ちくま新書1994年、p231)