駅の待ち合い室で特急や新幹線の中で、時間があればファンテをよむ。この旅にはファンテは一冊しかもってこなかったので、2回目の「犬と負け犬」。家族の物がたりとして、父親のヘンリーが子どもたちを罵しることばが新鮮。そこまで言うのかということばをつかい、すぐに息子にあやまったりもする。何でそんな下品なことをこのタイミングで口走るのか。ヘンリーはテレビや映画の脚本をかいて稼ぎながら、小説を書く気もちは失っていない。欲しくない三男を妻が身籠ったあとの行動はほんとひどい。ロクデナシ。それでもこうしたシーンの繰り返しをとおしてファンテが描こうとしているものに好感を感じるのはなぜか。