ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞 https://www.chosyu-journal.jp/heiwa/29293
この講演録の後半に非常に示唆に富む部分があったので引用したい。
“ シオニズムは、西欧植民地主義が結晶化したものだ。かつて日本が中国東北部につくった満州国では、日本から「未開の地を切り拓く」というプロパガンダで農民たちが渡っていったが、そこにはすでにきれいな田んぼがあったといわれている。なぜか? それは朝鮮の移民たち、場合によっては日本の植民地主義のなかで追われた人々がその地を切り拓いていたからだ。その地を二束三文で買い叩き、武力で奪い、そこへ日本の貧農を入植させた。そのとき、その地の中国人、朝鮮人を「土匪」「共匪」と呼び、これらの暴力が怖いからと言って銃を持って入植を進めていった。これはパレスチナでユダヤ人がやっていることと重なる。「原住民」を人種的に見下すということを、私たちは反省的に見ていかなければならない。”
植民地主義が蔓延りだすと必ずセットとして行われるのが「原住民への蔑視、非人間化」だ。被抑圧者たちを無知なものとして扱い頭数でしか捉えようとしない。故に構造的支配層が抑圧の原因であるにもかかわらず相対比較で少数であることを強調し自分達はマイノリティであり、制度として倫理的にも擁護、保護、庇護させるものであると嘯く。違う場面ではあるが、現在進行形で我々が見せられているある光景と重なっている